【怖い話】 あさって 【「禍話」リライト 掌編⑧】
高校で、「こっくりさんのようなもの」が流行っていたそうだ。
「こっくりさんのようなもの」は、やたらと難しい漢字と読みだったので、正式な名称は覚えていないという。
ある日やってみたら、スムーズに十円玉が動いた。
おっ、来た来た──と思って、みんなで尋ねた。
「えっ、えーっと。明日は晴れますか?」
「天気聞いてどうすんだよ。あの、明日の数学のテスト、教科書の何ページが出ますか?」
「来週、隣の市の高校とバスケの試合があるんです。けっこう強い相手なんですが、秘策とかないですか?」
──そういったことをいくら聞いても、降りてきたモノは、
「あさって」
としか答えてくれなかった。
どう、何が、誰が、と尋ねても、
「あさって」
としか言わない。
「おいおい『明後日』ってなんだよォ」
「明後日なんかあんのかぁ~?」
「俺らは明日とか来週のことを聞いてんだよぉ~っ!」
全員が不満タラタラになって、半ば無理やりに帰っていただく形で終了した。
それでも紙は、言い伝わる作法に従ってきちんと処分した。
数日後のこと。
学校の大掃除があった。
物入れや棚のホコリを払い、不要そうなものを手前や奥から出していく。
教室はさほどでもないが、文化系の部室の掃除が面倒だった。特に新聞部は、記事の書き損じや資料がめいっぱい詰め込まれている。
冊子やらファイルやらが詰まった棚のひとつに、やたら重い抽斗があった。
がんばって引っぱり出してみた。
色褪せた紙がいっぱいに入っていた。
上の方は単なる古い資料だったが、下へ下へと探っていくうちに、
「あれっ」
同じものが書いてある紙が束になっていた。
紙の真ん中の上部に鳥居。
その左右に「はい」と「いいえ」
あとは五十音が記してある。
大昔に使ったとおぼしき儀式用の紙が、みっしりと詰まっていた。
「明後日」ではなくて、
「漁って」と。
「儀式に使われて処分されてない紙を探して」と。
降りてきたモノが頼んでいたのではないか。
そう思ってゾッとしたという。
【完】
☆本記事は、無料&著作権フリーの怖い話ツイキャス「禍話」、
昨晩(24.9.14)放送した 禍話フロムビヨンド 第十夜 よりお送りしました。
★禍話についての情報は、リスナーのあるまさんに作っていただき、現在は聞き手の加藤よしきさんに引き継がれた「禍話wiki」をご覧ください。
これまでの300回・3000話超の全放送アーカイブ収録。タイトル検索可。
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