【怖い話】 チャイムがピン… 【「禍話」リライト掌編⑫】
毎週土曜日にネットラジオで怖い話をしている、金木さん(仮名)の体験。
ここ一ヶ月で数回、夜中にマンションの自室のチャイムが鳴らされるそうだ。
連打されるとか、時間を置いて幾度も押される、というのではない。
ただ一回だけ、
ピン……
と、中途半端に押されるらしい。
金木さんのマンションの外廊下は、音がとてもよく響く。来たり去ったりする時は必ず、何かしらの音が聞こえる。
来た時に気づかなかったというのはギリギリあり得ても、チャイムを押して去る時に無音、というのはありえないという。
2度目に「ピン……」と来たのは深夜の1時で、金木さんはまだ起きていた。
ムムッ! これは先日の! と耳をすませたが、外からは音がしない。気配すらない。
念のためドアを開けても誰もいなかったし、チェーンを開けて左右を見ても、逃げていく人影はなかった。
いやぁ、変なこともあるもんだなぁ~。
今月の下旬にやる怖い話のライブの準備をしてたから、なんか来たのかな?
でもなぁ、夜中はやめてほしいなぁ~!
などと、金木さんは気楽に考えていた。
明るいノリで知人に話してみると、
「それオバケが激励に来たんじゃないのかなぁ。ライブがんばって! みたいな」
と言うので、ふたりで笑った。
面白かったので別の知人に話してみると。
相手の顔が青くなった。
「お前、それヤバいぞ」と言う。
お前んちのチャイムってさ。
押すと「ピン」って鳴って。
離すと「ポーン」って鳴るヤツだろ。
それが、「ピン」で終わってるんだよな?
それってさ。
チャイムを押したままで、「それ」が外でずっと立ってる、ってことじゃねぇかよ。
あっ。
ワ、ワァッ……
金木さんは指摘されて猛烈に怖くなった。
「まぁ言われた時はゾッとしましたけど、怖い話なんかしてたらそんくらいのこと、よくありますからね。はっはっは」
金木さんはそう話を結んだ。
「けど音がしても確認しに行くの、やめました」
とも付け加えた。
怖い話ライブは予定通り、12月26日に行うそうである。
「配信もあるので、ぜひ……」というお話であった。
今までのライブ前って、こんなによくないことはなかったですよね。
今回はやる前からコレですから、何が起きるかわかりませんね。激ヤバですよ!
と思ったが、ご本人には伝えないでおくことにする。
【完】
それが、これ。
FEAR飯の呪わば呪えば
チケット発売中
●録画も2週間残ります
★本記事は無料&著作権フリーの怖い話ツイキャス「禍話」、
禍話フロムビヨンド 第21夜 より、編集・再構成してお送りしました。
余寒さんの怪談手帖が読切漫画となり、
コミカライズの第弐弾が出ていまして、
おしえて!オカルト先生で紹介されて、
聞き手の加藤さんの小説が16日に出て、
上記の通り26日にライブがありまして、
ゆやーん ゆよーん ゆやゆよーん……
いろいろありすぎてたいへん!
詳しくは下↓のリンクから……