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NHKから国民を守る党をぶっ壊す!4

 これまで3回に渡ってNHKから国民を守る党(N国党)を検証してきた。N国党に関しては正直、書いてるそばから次々と新しい出来事が起きてくる。あれも入れなきゃこれも書かなきゃと思いながらも、一応どこかで区切りをつけなくてはならない。レポートが1本完成する頃には、既に次のレポートの分量はネタが集まっているのだ。

 改めてお断りするが、タイトルに「ぶっ壊す!」とあるが私は決してN国党のアンチではない。できるだけ中立な立場で事実だけを描くつもりでいる。ところが今回のレポートは、どうしてもN国党バッシングのような形になってしまったことをお詫びしておきたい。


◼️収支報告書と借用書の問題

 総務省のホームページに各政党の収支報告書が公開された。当然、N国党のものも公開されており、過去3年間のものを見ることができる。

 ところが、その収支報告書にあまりに不備が多いというのである。ジャーナリストの篠原常一郎氏はYouTubeで次の点を指摘している。

 例えば、N国党本部の住所と立花代表の自宅の住所は異なっているにも関わらず、事務所の家賃や光熱費が記載されていない。街宣車をレンタルしているのにガソリン代がかかっていない。撃退シールの郵送代がない。YouTubeの広告収入がない。そして何よりも、選挙のためにお金を借りているのに、その借入や返済の記載がないというのである。
 素人の目から見てもこれは完全な政治資金規正法違反に当たるように感じる。

 これに対して、立花代表は「問題ありません」と反論。「あなたの主張が正しいのなら直ちに私を刑事告発して下さい。」と息巻いている。

 N国党は公式書類に対する意識が低いというよりは、無知なのではないかと思われる節がある。例えば、N国党にお金を貸した人が受け取ったという借用書の写真が公開されている。

 この借用書には収入印紙が貼られていないため、これでは単なる「覚え書き」に過ぎないのではないかとの指摘もある。
 もちろん覚え書きであろうと、借りた方に返す意思があるなら何ら問題はない。ところが、立花代表にその意思があるかどうか、これまでの言動を見るとどうにも怪しくなってくる。

  NHKは立花代表の参議院議員時代の参院議員会館内の事務所の受信機の8月と9月分のNHK受信料4,560円の支払いを求めていた。これに対して支払いがなかったため、民事訴訟を起こしている。立花代表は「立花氏は契約は法律上の義務だからするが支払いは別。受信料は踏み倒す。」と公言していた。
 また、これまでにNHKが立花代表相手に勝訴した2件の損害賠償請求訴訟の賠償金など計134万7697円も支払いが無かったため、立花代表の口座を差し押さえている。ところがYouTubeの広告収入がなくなったことにより支払いが出来なかったため口座の差し押さえを取り下げたというのだ。

◼️選挙ウォッチャーちだいとのバトル

 選挙ウォッチャーの“ちだい”氏は以前からN国党に関するレポートをnote上に積極的に公開してきていた。私自身もこのレポートを書くに当たって参考にしている。
 そのちだい氏とN国党がぶつかることとなったきっかけは、昨年5月の東京都立川市議会議員選挙の時だった。N国党はニコ生主の横山緑こと久保田学候補を擁立し当選させたが、その久保田市議に立川市内での居住実態がないことをちだい氏は指摘した。これに対し、久保田市議側はちだい氏を名誉毀損で告訴。立花代表がこの裁判を嫌がらせ目的の「スラップ裁判」であると動画で語っていたこともあり、久保田市議は敗訴。逆に78万円の慰謝料を支払うよう判決を下された。久保田市議側は控訴している。それ以後もN国党と、ちだい氏の間ではたびたびトラブルとなっていることが、ちだい氏のレポートやN国党の動画でも確認できる。ちだい氏はN国党にとってかなりやっかいな相手であるようだ。 

 そのちだい氏の自宅に大量のパンフレット類が届くようになった。中には代引きでの商品の発送もあった。明らかにちだい氏への嫌がらせが目的であり、N国党の関係者もしくは支持者の犯行であると推測された。そのため、ちだい氏は本来の仕事である選挙の取材を制限せざるを得ないところまで追い込まれた。
 そのちだい氏にN国党関係者からの匿名の内部告発の手紙が届く。それによると、嫌がらせはN国党の組織的犯行であるのだという。ちだい氏は事の顛末を有料noteで公開しているので、詳しくはそのnoteを読んで頂きたい。価格は1320円だが、それだけの価値のある内容で読みごたえがある。

 ちだい氏のnoteが公開されて真っ先に反応したのは、立花孝志代表の彼女でもある司法書士の加陽万里布氏。パンフレット類を送りつける作戦を計画・立案したのが加陽氏であるという記述を「全くの事実無根」であると否定した。

  ただし、加陽氏が否定したのは自身の関与だけであり、N国党の組織的犯行であるかどうかについては明確に否定していない。

 こうしたパンフレットを送付される被害は、他のN国党批判者にも及んでおり、ちだい氏は他の被害者と共に情報開示を請求。すると、N国党の大橋昌信・柏市議個人のIPアドレスであったという。この事に関して大橋市議もYouTubeで反論している。

 大橋市議は自身のIPアドレスが一致したのは、自身の携帯番号やGmailアドレスを公開しているからだろうと語っている。どうやら大橋市議はIPアドレスが何であるかを理解していないようで、正直なところまったく反論となっていない。

 立花代表もTwitterで、ちだい氏が「ガセ情報」手紙を鵜呑みにしているのだと批判した。

  その一方、YouTuber“かけぞう”氏がちだい氏にパンフレットを送付したのは自分であるという動画を、自身の関与はないことの証拠であるとしている。

  なお、このかけぞう氏は、別の動画でその事は嘘だと語っているのだから、立花代表もまた「ガセ情報」を鵜呑みにしていることになる。

 そもそもかけぞう氏は、以前にも沖縄の首里城に火をつけたのは自分だと語るなど、炎上目的で嘘の動画をあげるような問題のある人物である。
 立花代表は批判のために、自身のYouTube動画でちだい氏の有料noteの内容を一字一句読み上げている。ちだい氏が有料で販売しているものを、無料で公開したということで、これはれっきとした著作権違反になるだろう。

 立花代表は、ちだいだけでなくちだい氏の記事を信じて拡散した人に対しても法的措置を取るとしている。

◼️N国党コールセンター

 N国党は参院選を前にした2019年6月、「NHK受信料不払いコールセンター」を設立した。ここに電話するとNHKに関する各種トラブルについて専門のオペレーターが対応してくれるとのことである。オペレータは、N国党の地方議員たちがボランティアで待機しているという。
 NHK集金人に関するトラブルは以前からあった。集金人が夜遅くに訪問したり、宅配便だと嘘をついて強引に家に上がり込んでなかなか帰らなかったり…。立花孝志代表は、NHKが集金人に暴力団関係者を利用しているとも語っているが、なるほどそれもあり得そうに思われる。N国党のコールセンターは、こうしたNHK集金人との間にトラブルが起きた際に代わりに応対してくれるというのである。

 テレビを持っていなくてもワンセグ機能付きの携帯電話があればNHKの契約が必要だと私自身NHK集金人に言われたことがある。テレビが無いからと言っても、確認のために家の中に入って来ようとしたという話もあり、確かに強引な集金人はいるのかもしれない。気の弱い人ならそれで契約してしまうこともあるだろう。そうしたときにコールセンターが助けてくれるのであれば、確かに存在意義はあるだろう。
 しかしYouTubeなどにupされている動画を見ると、NHK集金人を口汚く罵ったり、明らかにテレビがあるにも関わらず支払いを拒否するなど、コールセンターのオペレータの行為は目に余るものがある。

 N国党は「NHKを見なければ受信料は払わなくてよい」と主張しているが、放送法第64条1項では「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」となっている。N国党はそのあとに「ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(略)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りではない」とあるのとを根拠に、NHKを見なければ受信料を払う必要はないとしている。

 ワンセグ機能の付いた携帯電話の所有では受信料支払い義務があるかどうか何度か裁判で争われている。中にはN国党の薦めによって支持者が訴えたという場合もあるのだが、こうしたいわゆる「ワンセグ裁判」であるが、判決では「支払う必要がある」と軒並みNHKの勝訴に終わっている。「NHKを見ない」という主観は考慮されないのである。
 N国党は一時期支持者に対してNHKに裁判を起こすよう勧めていたが、結果的にNHKに有利な凡例を積み上げることとなっている。これでは「NHKをぶっ壊す!」のを余計に難しくしてるとしか思えない。
 立花代表は参院選の政見放送で、NHK受信料を不払いとする具体的な方法を述べている。それは、NHKの受信料支払いを銀行振込として、それを無視し続けるという方法。契約をしていながら支払わない、つまり明確な法律違反を勧めていると受け取ることも出来る。
 
 先に述べたちだい氏への大量のパンフレット送付というのも、コールセンターのオペレータが空き時間を利用して組織的に行なっていた犯行であると、告発文に述べられていたという。

◼️N国党告発

 そうこうしているうちに12月24日に、立花孝志代表とN国党の関係者に対して偽計業務妨害で刑事告発がなされたというのだ。

 告発したのは、N国党の所業を見かねた複数のアンチN国党の人たち。告訴されたのは立花孝志代表及び、N国党コールセンターと集金人撃退行為を行なっている同党地方議員。さらにYouTubeやTwitter等で党を幇助している人たちも含まれている。偽計業務妨害の内容としては、コールセンターや党員などによる電話対応や、シールやチラシの配布。YouTubeやTwitter等での不払い・未契約幇助の呼びかけなど、あらゆるNHKの業務妨害行為についてだという。
 ヤジを飛ばした聴衆を「私人逮捕」と称して拘束しその様子をスマホで撮影したり、「選挙活動」と称して選挙区内でNHK撃退シールを配布する行為(利益供与とされる)など、私がこれまでこのレポート「NHKから国民を守る党をぶっ壊す!」の中でお伝えしてきた事の中にも、間違いなく偽計業務妨害に数えられる事が数多く含まれている。そうすると、あまりにも心当たりが多すぎて、当事者にも具体的にどの件を指しているのかがわからなくなってしまうのではないだろうか。

 また、司法書士の加陽麻里布氏に対しても、懲戒請求が出されたという。

 この時の懲戒請求は、被選挙権がないにも関わらず足立区議選に立候補した件であったが、立花代表によるとNHKとの裁判のことをYouTubeで語ったことが守秘義務違反とされたともいっているため、懲戒請求は複数出されている模様だ。

 加陽氏が本当に不当懲戒請求で訴えたのかどうかはわからないが、批判者に対し裁判で訴えると発言して脅すというのはN国党がよく取る手段である。佐藤恵理子・埼玉県上尾市議も自身を批判したサイトに対して名誉毀損・公職選挙法違反であると訴訟をチラつかせていた。

 もはやN国党に関しては支持者、アンチみだれての泥仕合の様相を呈している。

■N国党終わりの始まり?

 1月11日・12日に実施されたTBSの世論調査でN国党の政党支持率が0%を記録した。

 N国党は参院選後の2019年8月の世論調査で0.8%で初登場。その後は0.2~0.4%で推移していたが、ついに落ちるところまで落ち込んだ。TBSの世論調査で支持率0%を記録したのは過去に新党改革、日本のこころ、自由党、希望の党などがあるが、いずれもその後しばらくして解党となっている。N国党がかつての勢いを失い、すでに“オワコン”化しているのは間違いないところ。
 今年2020年には解散総選挙があるとのもっぱらの噂である。N国党もすべての比例代表区と北関東ブロックの小選挙区に候補者を立てる方針だ。しかしながら、この様子では議席獲得は厳しいのではないだろうか。

 N国党の衆院選特設ページが以前話題になった。というのも掲載されている候補者が美女ばかりなのである。ところが、その公認候補の辞退が相次いでいるというのだ。

 なにしろN国党唯一の現職代議士である丸山穂高代議士の選挙区すら決まっていない。本来であれば丸山代議士は地盤である大阪19区から比例区重複で立候補すべきである。ところが、立花代表は青汁王子こと三崎優太氏を比例近畿ブロック1位にすると明言している。他に当選の可能性のある比例ブロックでは東京ブロックが加陽麻里布氏、北関東ブロックがホリエモン秘書の齊藤健一郎氏、南関東ブロックが歯科医師の渡辺敏光氏と決定している。立花代表は丸山代議士を九州ブロックから立候補させたいと語っているが、丸山代議士がそれに応じるかどうか。
 立花代表は依然、元プロ野球選手の新庄剛志氏の擁立に色気を見せている。また、IR疑惑に関連して日本維新の会を除名された下地幹郎代議士(比例九州)にも入党を要請している。

 彼らが実際にN国党から立候補する可能性は低いとはいえ、いずれも九州を地盤としている。彼らの去就がはっきりするまで丸山代議士の立候補先が決まらないということでもある。丸山代議士にはすでに大阪の事務所を閉鎖したとの話もあり、今後の動静が気になる。
 果たしてこのままN国党は終焉を迎えてしまうのか。それとも、立花孝志代表が何らかの策を講じて新たなブームを作り上げてくるか。N国党にもう少しだけ注目することにしたい。

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