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2024年アメリカ大統領選挙直前レポート

 4年に1度のアメリカ大統領選挙の時期がやって来た。アメリカのみならず世界的にも注目されている。4年前に引き続き、アメリカ大統領の模様をレポートすることにしたい。

 今回のアメリカ大統領選挙は空前の激戦になりそうな予感。現職のジョー・バイデン大統領(民主党)の審判を問う選挙になるが、共和党の挑戦者がドナルド・トランプ前大統領となりそうなのだ。

 アメリカ大統領の任期は2期までと決まっている。従って3期を目指して立候補をすることは出来ない。そのため、元大統領が挑戦するということは極めて稀である。
 過去に元大統領が大統領辞職後に大統領選挙に挑戦したのは4例しかない。

1848年 マーティン・ヴァン・ビューレン
1856年 ミラード・フィルモア
1892年 グロバー・クリーブランド
1912年 セオドア・ルーズベルト

 そのうち返り咲きに成功したのは22代・24代のクリーブランド大統領のみ。今回トランプ前大統領が返り咲きに成功すれば、132年ぶり2度目の快挙となる。


◆大統領レース立候補者

 2024年1月15日の共和党のアイオワ州党員集会を皮切りに、党員集会・予備選挙が全米で行なわれる。今回は民主党はバイデン大統領、共和党はトランプ前大統領という大物が立候補していることもあり、両党とも有力な対立候補に乏しい印象であった。

ジョー・バイデン大統領

 与党・民主党ではジョー・バイデン大統領(81/ペンシルバニア州)の他に立候補したのは次のような人物がいる。

ディーン・フィリップス下院議員

 ディーン・フィリップス下院議員(55/ミネソタ州)。

ジェイソン・パーマー候補

 起業家のジェイソン・パーマー候補(52/メリーランド州)。

マリアンヌ・ウィリアムソン候補

 作家のマリアンヌ・ウィリアムソン候補(72/テキサス州)。

ドナルド・トランプ前大統領

 一方の共和党はドナルド・トランプ前大統領(78/フロリダ州)の他に立候補したのは…。

ロン・サンディス・フロリダ州知事

 ロン・デサンティス・フロリダ州知事(46)。

ニッキー・へイリー元国連大使

 ニッキー・ヘイリー元国連大使(52/サウスカロライナ州)。

エイサ・ハッチンソン前アーカンソー州知事

 エイサ・ハッチンソン前アーカンソー州知事(73)。

ヴィヴェク・ラスワミ候補

 インド系の起業家のヴィヴェク・ラスワミ候補(39/オハイオ州)。

ライアン・ビンクリー候補

 牧師・実業家のライアン・ビンクリー候補(56/テキサス州)。

 その他、ロバート・ケネディ・ジュニア候補(70/カリフォルニア州)が当初民主党での立候補を表明していたが、2023年10月に無所属からの立候補に変更している。

ロバート・ケネディ・ジュニア候補

 ケネディ候補はロバート・ケネディ元司法長官の息子。ジョン・F・ケネディ元大統領の甥に当たる。
 ケネディ候補は2023年11月の世論調査では、トランプ前大統領38%、バイデン大統領37%に次ぐ21%の支持を集めていた。独立候補としては1992年大統領選で19%の得票を集めたロス・ペロー候補以来の高い支持ということで注目されていた。

◆アイオワ州党員集会

 アメリカ大統領選挙の党員集会・予備選挙は1月15日のアイオワ州の党員集会で幕を開けるが、民主党は集会は行なうものの投票は郵送で実施される。そのため、党員集会で候補者が選ばれるのは共和党のみであった。
 結果は次の通りとなった。

51.01%(代議員20人)ドナルド・トランプ
21.23%(代議員9人)ロン・デサンティス
19.12%(代議員8人)ニッキー・ヘイリー
  7.66%(代議員3人)ヴィヴェク・ラマスワミ
  0.70%(代議員0人)ライアン・ビンクリー
  0.17%(代議員0人)エイサ・ハッチンソン

 ロン・サンディス・フロリダ州知事はトランプ前大統領に大きく差をつけられたことから選挙戦からの撤退を表明。4位に終わった起業家のヴィヴェク・ラスワミ候補、代議員を獲得出来なかったエイサ・ハッチンソン・アーカンソー州知事も同じく撤退を表明した。ライアン・ビンクリー候補も代議員は獲得出来なかったが、選挙戦は継続するとした。

◆ニューハンプシャー州予備選挙

 アメリカ大統領選挙第2戦としてニューハンプシャー州予備選挙が1月23日行なわれた。ニューハンプシャー州では、全米で最初に予備選挙を開催することになっている。ところが今回、民主党全国委員会は2月3日のサウスカロライナ州予備選挙を最初とすると決定していた。そのため、サウスカロライナ州と日程を巡って対立。ニューハンプシャー州予備選挙は「非公認」となり、本来は33人の代議員も割り当てられないことになった。

 ジョー・バイデン大統領もニューハンプシャー州予備選挙への出馬を辞退し、投票用紙に名前が記載されない事態となった。バイデン大統領の支持者は、投票用紙にバイデン大統領の名前を書き込んで投票するよう呼び掛けていた。

結果は次の通り。

53.3.%ジョー・バイデン
19.5%ディーン・フィリップス
  4.6%マリアンヌ・ウィリアムソン

 名前がなかったにも関わらずバイデン大統領の圧勝となった。
 一方の共和党は…。

54.3%(代議員12人)ドナルド・トランプ
43.3%(代議員9人)ニッキー・ヘイリー

 トランプ大統領がアイオワ州に続いて勝利を挙げたが、ニッキー・ヘイリー元国連大使も健闘した。ヘイリー候補も選挙戦を継続するとしている。今後、どこまで指名争いに踏みとどまれるか…。

◆アメリカ大統領指名争い白熱

 民主党の指名争いは2月3日に本格的に幕を開けた。
 民主党の予備選挙の結果は次の通りである。

2月3日サウスカロライナ州予備選挙
96.2%(代議員55人)ジョー・バイデン

2月6日ネバダ州予備選挙
89.3%(代議員36人)ジョー・バイデン

2月27日ミシガン州予備選挙
81.1%(代議員115人)ジョー・バイデン

 いずれもバイデン大統領の代議員総取りとなった。ここまでの代議員数は、予備選挙が行なわれなかった州も含め449だが、その全てをバイデン大統領が獲得したことになる。ジェイソン・バーマー候補、マリアンヌ・ウィリアムソン候補は代議員を獲得出来なかった。

 一方共和党の方は、ドナルド・トランプ前大統領が優位も、ニッキー・ヘイリー元国連大使も健闘している。
 2月6日、ネバダ州で共和党予備選挙が実施された。ネバダ州ではこれまでは党員集会が行われていたのだが、ネバダ州議会が2021年に予備選挙への切り替えを決定。ところが州の共和党はこの決定に反発し、トランプ前大統領らは予備選のボイコットを表明していた。そのためニッキー・ヘイリー元国連大使のみが予備選挙の方に立候補していた。 

2月6日ネバダ州予備選挙
69.4%候補者なし
30.6%ニッキー・ヘイリー

 しかしながらヘイリー候補は、「候補者なし」をも下回る結果であった。おそらく、トランプ前大統領を支持する票が「候補者なし」に流れたのであろう。

2月8日ネバダ州党員集会
99.1%(代議員26人)ドナルド・トランプ

2月8日バージン諸島党員集会
69.5%(代議員187人)ドナルド・トランプ
25.8%(代議員65人)ニッキー・ヘイリー

2月24日サウスカロライナ州予備選挙
59.8%(代議員47人)ドナルド・トランプ
39.5%(代議員3人)ニッキー・ヘイリー

 ミシガン州では予備選挙と党員集会がどちらも行なわれた。

2月27日ミシガン州予備選挙
68.1%(代議員12人)ドナルド・トランプ
26.6%(代議員4人)ニッキー・ヘイリー

3月2日ミシガン州党員集会
97.8%(代議員39人)ドナルド・トランプ

 ライアン・ビンクリー候補はミシガン州予備選挙に向けて準備を進めていたが、予備選挙当日に撤退を表明した。

3月2日アイダホ州党員集会
84.9%(代議員32人)ドナルド・トランプ

3月2日ミズーリ州党員集会
代議員51人 ドナルド・トランプ

 ミズーリ州は候補者の得票のパーセンテージを公表していない。

3月1日~3日ワシントンDC予備選挙
62.8%(代議員19人)ニッキー・ヘイリー
33.3%(代議員0人)ドナルド・トランプ

 首都ワシントンDCではニッキー・ヘイリー候補が勝利した。

3月4日ノースダコタ州党員集会
84.6%(代議員29人)ドナルド・トランプ

 ここまでの代議員数は次の通り。

273ドナル・トランプ
  43ニッキー・ヘイリー
   9ロン・デサンディス
   3ヴィヴェク・ラマスワミ

◆スーパー・チューズデー

 3月5日、アメリカ大統領選挙は最大の山場ともいえる“スーパー・チューズデー”を迎えた。3月第2火曜日に予備選挙・党員集会が集中的に行なわれることからそう呼ばれている。ここで勝利を収めた候補者が、指名獲得に向けて大きく躍進することになる。また、ここで敗北した候補者は勝利できないとして撤退することになることが多いため、その結果はかなり注目される。

 共和党は15の州、民主党は15の州とアメリカ領サモアで予備選挙・党員集会が行なわれた。バイデン大統領とトランプ前大統領は指名を確実なものとするために、また他の候補にとっては選挙戦線を生き残るためにもこのスーパー・チューズデーは重要である。果たして、今回はどのような結果となったのか。

 民主党の結果は以下の通り。

アラバマ州予備選挙
89.1%(代議員52 人)ジョー・バイデン

アメリカ領サモア党員集会
56.0%(代議員3人)ジェイソン・バーマー
44.0%(代議員3人)ジョー・バイデン

アーカンソー州予備選挙
88.5%(代議員31 人)ジョー・バイデン

カリフォルニア州予備選挙
89.4%(代議員424人)ジョー・バイデン

コロラド州予備選挙
82.6%(代議員72人)ジョー・バイデン

アイオワ州党員集会
90.4%(代議員4人)ジョー・バイデン

メーン州予備選挙
92.2%(代議員24 人)ジョー・バイデン

マサチューセッツ州予備選挙
82.9%(代議員91人)ジョー・バイデン

ミネソタ州予備選挙
70.1%(代議員64人)ジョー・バイデン
18.8%(代議員11人)候補者なし

ノースカロライナ州予備選挙
87.3%(代議員105人)ジョー・バイデン

オクラホマ州予備選挙
73.0%(代議員36人)ジョー・バイデン

テネシー州予備選挙
92.2%(代議員63人)ジョー・バイデン

テキサス州予備選挙
84.6%(代議員232人)ジョー・バイデン

ユタ州予備選挙
86.9%(代議員30人)ジョー・バイデン

バーモント州予備選挙
83.0%(代議員16人)ジョー・バイデン

バージニア州予備選挙
88.5%(代議員92 人)ジョー・バイデン

 アメリカ領サモアでジェイソン・パーマー候補が首位となったが、その他の州はすべてバイデン大統領が圧勝だった。
 ここまでに獲得した代議員数は次の通り。

1,761ジョー・バイデン
  3ジェイソン・パーマー

 バイデン大統領の指名獲得はほぼ確実となった。

 一方の共和党の方は。

アラバマ州予備選挙
83.2%(代議員50人)ドナルド・トランプ

アラスカ州予備選挙
87.6%(代議員29人)ドナルド・トランプ

アーカンソー州予備選挙
76.9%(代議員39人)ドナルド・トランプ
18.4%(代議員1人)ニッキー・へイリー

カリフォルニア州予備選挙
79.1%(代議員169人)ドナルド・トランプ

コロラド州予備選挙
63.4%(代議員24人)ドナルド・トランプ
33.4%(代議員12人)ニッキー・ヘイリー

メーン州予備選挙
72.9%(代議員20人)ドナルド・トランプ

マサチューセッツ州予備選挙
60.0%(代議員40人)ドナルド・トランプ

ミネソタ州予備選挙
69.1%(代議員27人)ドナルド・トランプ
28.8%(代議員12人)ニッキー・ヘイリー

ノースカロライナ州予備選挙
73.9%(代議員62人)ドナルド・トランプ
23.3%(代議員11人)ニッキー・ヘイリー

オクラホマ州予備選挙
81.8%(代議員43人)ドナルド・トランプ

テネシー州予備選挙
77.3%(代議員58人)ドナルド・トランプ

テキサス州予備選挙
77.9%(代議員161人)ドナルド・トランプ

ユタ州予備選挙
56.4%(代議員40人)ドナルド・トランプ

バーモント州予備選挙
49.3%(代議員9人)ニッキー・ヘイリー
45.1%(代議員8人)ドナルド・トランプ

バージニア州予備選挙
63.0%(代議員42人)ドナルド・トランプ
34.9%(代議員6人)ニッキー・ヘイリー

 トランプ大統領がバーモント州以外で圧勝。ニッキー・ヘイリー候補もバーモント州でようやく首位を獲得した。
 獲得した代議員数は次の通り。

1,067ドナルド・トランプ
  94ニッキー・ヘイリー
    9ロン・デサンディス
    3ヴィヴェク・ラマスワミ

 しかしニッキー・ヘイリー候補は3月6日、選挙戦からの撤退を表明した。最大のライバルの撤退で、共和党もトランプ前大統領の指名獲得がほぼ確実となった。

◆民主党候補者指名確定

 民主党、共和党共に候補者はほぼ確定したが、予備選・党員集会はその後も引き続いて行なわれた。

 民主党の結果を見ていこう。

3月6日ハワイ州党員集会
66.0%(代議員15人)ジョー・バイデン
29.1%(代議員7人)候補者なし

 ハワイ州ではバイデン大統領が勝利したが、候補者なしも3割の支持を集めた。

3月5日~12日国外
80.1%(代議員13人)ジョー・バイデン

3月12日ジョージア州予備選挙
93.1%(代議員108人)ジョー・バイデン

3月12日ミシシッピ州予備選挙
98.7%(代議員35人)ジョー・バイデン

3月12日北マリアナ諸島党員集会
93.9%(代議員6人)ジョー・バイデン

 米領サモアで首位となったジェイソン・パーマー候補は北マリアナ諸島での得票に期待していたが、わずか4%の得票に終わり、バイデン大統領に差をつけられた。

3月12日ワシントン州予備選挙
83.5%(代議員90人)ジョー・バイデン
  9.8%(代議員2人)候補者なし

 この時点でバイデン大統領の獲得代議員数は2,028人となり、民主党の代議員の過半数である1,975人を超えた。バイデン大統領が民主党の大統領候補に指名されることが確定した。

3月19日アリゾナ州予備選挙
89.3%(代議員72人)ジョー・バイデン

3月19日イリノイ州予備選挙
91.5%(代議員174人)ジョー・バイデン

3月19日カンザス州予備選挙
83.7%(代議員33人)ジョー・バイデン

3月19日オハイオ州予備選挙
87.1%(代議員124人)ジョー・バイデン
12.9%(代議員3人)ディーン・フィリップス

 オハイオ州ではすでに3月6日に選挙戦から撤退済みのディーン・フィリップス下院議員が代議員3人を獲得している。

3月23日ルイジアナ州予備選挙
86.1%(代議員48人)ジョー・バイデン

3月23日ミズーリ州予備選挙
85.3%(代議員61人)ジョー・バイデン
11.7%(代議員3人)候補者なし

3月30日ノースダコタ州予備選挙
92.4%(代議員13人)ジョー・バイデン

4月2日コネチカット州予備選挙
84.8%(代議員60人)ジョー・バイデン

4月2日ニューヨーク州予備選挙
80.7%(代議員268人)ジョー・バイデン

4月2日ロードアイランド州予備選挙
80.7%(代議員25人)ジョー・バイデン
14.5%(代議員1人)候補者なし

4月2日ウィスコンシン州予備選挙
88.6%(代議員82人)ジョー・バイデン

4月13日アラスカ州党員集会
代議員15人 ジョー・バイデン

 アラスカ州では口頭による投票でバイデン大統領が勝利した。

4月13日ワイオミング州党員集会
96.0%(代議員13人)ジョー・バイデン

4月23日 ペンシルバニア州予備選挙
87.9%(代議員159人)ジョー・バイデン

4月27日 ニューハンプシャー州予備選挙
代議員24人 ジョー・バイデン

 ニューハンプシャー州では1月23日に実施された予備選挙が民主党によって認められなかったため、改めて予備選挙が実施された。

4月28日 プエルトリコ予備選挙
89.3%(代議員55人)ジョー・バイデン

5月7日インディアナ州予備選挙
100%(代議員79人)ジョー・バイデン

5月14日メリーランド州予備選挙
87.1%(代議員95人)ジョー・バイデン

5月14日 ネブラスカ州予備選挙
90.2%(代議員28人)ジョー・バイデン
  9.8%(代議員1人)ディーン・フィリップス

5月14日 ウェストバージニア州予備選挙
70.5%(代議員20人)ジョー・バイデン

5月21日ケンタッキー州予備選挙
71.3%(代議員53人)ジョー・バイデン
17.9%(代議員10人)候補者なし

5月21日オレゴン州予備選挙
87.1%(代議員66人)ジョー・バイデン

5月23日アイダホ州党員集会
95.2%(代議員23人)ジョー・バイデン

6月4日ワシントンDC予備選挙
86.9%(代議員20人)ジョー・バイデン

6月4日モンタナ州予備選挙
91.1%(代議員20人)ジョー・バイデン

 4月15日、ジェイソン・パーマー候補はバイデン大統領支持を表明し実質的に選挙戦からの撤退を表明した。(正式の撤退は5月15日)
 残る候補者としてはマリアンヌ・ウィルソン候補がいたが、なかなか代議員の獲得までは至らない。

6月4日ニュージャージー州予備選挙
88.2%(代議員124人)ジョー・バイデン
  9.1%(代議員2人)候補者なし

6月4日ニューメキシコ州予備選挙
83.5%(代議員34人)ジョー・バイデン

6月4日サウスダコタ州予備選挙
74.6%(代議員16人)ジョー・バイデン

6月8日グアム党員集会
代議員7人 ジョー・バイデン

6月8日7 ヴァージン諸島党員集会
100%(代議員7人)ジョー・バイデン

 民主党の獲得代議員数は最終的に次の通りとなった。

3,905ジョー・バイデン
      37候補者なし
        4ディーン・フィリップス
  3ジェイソン・パーマー

◆共和党候補者指名確定

 共和党の予備選挙の結果は次の通りである。

3月8日米領サモア党員集会
100%(代議員9人)ドナルド・トランプ

3月12日ジョージア州予備選挙
84.5%(代議員59人)ドナルド・トランプ

3月12日ハワイ州党員集会
97.1%(代議員19人)ドナルド・トランプ

3月12日ミシシッピ州予備選挙
92.5%(代議員40人)ドナルド・トランプ

3月12日ワシントン予備選挙
76.4%(代議員43人)ドナルド・トランプ

 この時点でドナルド・トランプ大統領の獲得代議員数は1,237人となり共和党の代議員の過半数である1,215人を超えた。トランプ前大統領が共和党の大統領候補に指名されることが確定した。

3月15日北マリアナ諸島党員集会
90.1%(代議員9人)ドナルド・トランプ

316日グアム党員集会
100%(代議員9人)ドナルド・トランプ

3月19日アリゾナ州予備選挙
78.8%(代議員43人)ドナルド・トランプ 

3月19日フロリダ州予備選挙
81.2%(代議員125人)ドナルド・トランプ

3月19日イリノイ州予備選挙
80.5%(代議員64人)ドナルド・トランプ

3月19日カンザス州予備選挙
75.5%(代議員39人)ドナルド・トランプ

3月19日オハイオ州予備選挙
79.2%(代議員79人)ドナルド・トランプ

3月23日ルイジアナ州予備選挙
89.8%(代議員47人)ドナルド・トランプ

4月2日コネチカット州予備選挙
77.9%(代議員28人)ドナルド・トランプ

4月2日ニューヨーク州予備選挙
81.2%(代議員91人)ドナルド・トランプ

4月2日ロードアイランド州予備選挙
84.5%(代議員17人)ドナルド・トランプ
10.6%(代議員2人)ニッキー・へイリー

 既に選挙戦からの撤退を表明しているニッキー・へイリー元国連大使が10%を超える得票を挙げた。

4月2日ウィスコンシン州予備選挙
79.0%(代議員41人)ドナルド・トランプ

4月18日~20日ワイオミング州党員集会
100%(代議員29人)ドナルド・トランプ

4月21日プエルトリコ予備選挙
96.2%(代議員23人)ドナルド・トランプ

4月23日ペンシルバニア州予備選挙
82.8%(代議員67人)ドナルド・トランプ

5月7日インディアナ州予備選挙
78.3%(代議員58人)ドナルド・トランプ

5月14日 37 メリーランド州予備選挙
77.3%(代議員37人)ドナルド・トランプ

5月14日ネブラスカ州予備選挙
79.3%(代議員36)ドナルド・トランプ

5月14日ウェストバージニア州予備選挙
88.4%(代議員32)ドナルド・トランプ

5月21日ケンタッキー州党員集会
85.0%(代議員46人)ドナルド・トランプ

5月21日オレゴン州予備選挙
91.6%(代議員31人)ドナルド・トランプ

6月4日モンタナ州予備選挙
90.9%(代議員31人)ドナルド・トランプ

6月4日ニュージャージー州予備選挙
97.2%(代議員12人)ドナルド・トランプ

6月4日ニューメキシコ州予備選挙
84.5%(代議員22人)ドナルド・トランプ

 共和党の獲得代議員数は最終的に次の通りとなった。

2,260ドナルド・トランプ
      97ニッキー・ヘイリー
        9ロン・デサンディス
        3ヴィヴェク・ラマスワミ

 2024年アメリカ大統領選挙は民主党のジョー・バイデン大統領と、共和党のドナルド・トランプ前大統領の決戦と決まった。81歳のバイデン大統領と78歳のトランプ前大統領は、いずれも後期高齢者。どちらが勝っても史上最高齢当選の記録を更新することになる。

◆第3極候補

 日本のマスコミの報道を見ていると、アメリカ大統領選挙にはまるで民主党・共和党の2大政党の候補者しかいないかのような印象を受ける。あにはからんや実際には数多くの候補者が立候補しているのである。今回も既に20人以上もの候補者が名乗りを挙げている。
 アメリカ大統領選挙は形式的には間接選挙であるため、候補者は各州に選挙人を用意しなくてはならない。選挙人の数は上院と下院議員の合計議席数と同じであり、最多はカリフォルニア州の55人。最少はアラスカ州やデラウェア州などの3人となっている。しかしながら選挙人を用意するには一定数の有権者の署名を集める必要があるなど、大政党以外にはなかなかハードルが高い。

 現時点で全ての州とワシントンDCに選挙人を用意できているのは2大政党の他にはリバタリアン党しかない。
 そのリバタリアン党は5月24日~26日の党大会でチェイス・オリバー候補(39/テネシー州)を選出した。

チェイス・オリバー候補

 リバタリアン党の候補者が大統領選に当選する可能性は皆無だが、ここ3回の大統領選では常に100万票以上を獲得しており、2大政党の候補者が接戦になった場合は、当落を左右する可能性は考えられる。

 選挙人488人の緑の党は2012年と2016年の大統領候補だったジル・スタイン候補(74/マサチューセッツ州)を選出した。

ジル・スタイン候補

 2000年に緑の党から大統領選挙に立候補したラルフ・ネーダー候補は288万票を獲得し結果を大きく左右したとされる。スタイン候補自身も2016年には145万票を獲得している。

 当選に必要な選挙人の過半数である270人を用意出来ている候補は他には無所属のロバート・ケネディ・ジュニア候補を含めて5人いる。

 選挙人463人の社会主義解放党は社会主義活動家のクラウディア・デ・ラ・クルス候補(42/ニューヨーク州)を擁立した。神学者で牧師でもあり、2003年にはイラク戦争に反対する10代のグループを指揮した。

クラウディア・デ・ラ・クルス候補

 他にもサウスカロライナ労働者党と平和自由党がデ・ラ・クルス候補を推薦している。

 選挙人366人のコーネル・ウェスト候補(71/カリフォルニア州)は哲学者で神学者。

コーネル・ウェスト候補

 俳優として映画「マトリックス」シリーズに出演したこともある。

 選挙人341人のアメリカ連帯党はピーター・ソンスキー候補(62/コネチカット州)。

ピーター・ソンスキー候補

 民主党→共和党を経て2018年よりアメリカ連帯党に所属している。

 シヴァ・アヤドゥライ候補(60/マサチューセッツ州)は選挙人361人。インド系アメリカ人の起業家である。

シヴァ・アヤドゥライ候補

 陰謀論家でもあり、10代の頃に電子メールを発明したと主張している。

 以下の候補は現時点で当選に必要な選挙人を確保しておらず、一部の州のみでの立候補となっている。

 選挙人181人の立憲党(憲法党)は活動家のランドール・テリー候補(65/ニューヨーク州)。

ランドール・テリー候補

 テリー候補は中絶反対運動を行なっており、中絶病院を封鎖したりして何度となく逮捕されている。

 選挙人111人の社会主義労働者党はレイチェル・フルーツ候補(75/フロリダ州)。

レイチェル・フルーツ候補(左)

 「ユダヤ人憎悪や虐殺からの避難場所としてイスラエルを守ろう」と主張している。

 選挙人128人の社会主義平等党は作家のジョセフ・キショア候補(44/ニューハンプシャー州)。

ジョセフ・キショア候補

 前回に続いての大統領選出馬となる。企業や銀行の国営化など社会主義体制の樹立を主張している。

 選挙人87人のリチャード・ダンカン候補(オハイオ州)。

リチャード・ダンカン候補

 2016年大統領選にも無所属で立候補し約2万票を獲得。

 選挙人109人の立憲党分派はジョエル・スコウセン候補(78/ユタ州)を擁立。

ジョエル・スコウセン候補

 立憲党は4月27日の党大会でランドール・テリー候補を指名していたが、ネバダ州やユタ州の党組織は対立候補だったスコウセン候補を擁立した。

 選挙人151人のジェイ・ボウマン候補(ケンタッキー州)。

ジェイ・ボウマン候補

 彼は「常識的な政府」を主張する。彼によるとアメリカ合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンは政党の乱立に警告を発していたとのこと。政党は国家を分裂させる可能性があり、政治家は国家の利益よりも政党の利益を優先させているのだという。

 選挙人80人の承認投票党はブレイク・フーバー候補(コロラド州)。

 選挙人78人の敬虔・真実・正義党は牧師のマティー・プレストン候補(ルイジアナ州)。

 選挙人152人のクリス・ギャリティ候補(ニューハンプシャー州)。

クリス・ギャリティ候補

 選挙人83人のアメリカ社会党はビル・ストッデン候補(インディアナ州)。

 選挙人76人の禁酒党はマイケル・ウッド候補(カリフォルニア州)。

 選挙人76人のルシファー“ジャスティンケース”エブリーラブ候補(ニューハンプシャー州)。

ルシファー“ジャスティンケース”エブリーラブ候補

 選挙人86人のアメリカ自由党はローラ・エブケ元ネブラスカ州議会議員(62/ネブラスカ州)。

ローラ・エブケ候補

 もともとは共和党で2014年にネブラスカ州議会議員に当選。その後、リバタリアン党に移籍するも2018年選挙で落選。2024年にアメリカ自由党に移籍しての大統領選立候補となる。

 選挙人82人のパーティ党は元大学フットボールコーチのロビー・ウェルズ候補(56/ジョージア州)。

ロビー・ウェルズ候補

 2016大統領選には無所属で立候補。2020年は民主党からの出馬を目指した。

 選挙人73人の海賊党はバーミン・ラブ・シュプリーム(63/マサチューセッツ州)候補。デラウェア州保守党からの推薦も得ている。

バーミン・ラブ・シュプリーム候補

 1992年以来毎回のように大統領選に出馬しており、奇抜な政策やパフォーマンスが話題になる。

 大統領選挙ではこうした第三極候補の得票にも注目である。

◆トランプ前大統領暗殺未遂

 7月13日にペンシルバニア州バトラーで開かれた共和党の集会でドナルド・トランプ前大統領が銃撃された。3名が死傷したものの、トランプ前大統領は弾丸が右耳をかすっただけで命に別状はなかった。トランプ前大統領は群衆に向かって拳を突き上げ「Fight!(戦え!)」と繰り返し叫び、シークレットサービスに囲まれて車まで退避した。

 犯人はすぐにシークレットサービスによって射殺されたが、民主党支持者の犯行とも、トランプ前大統領の自作自演ともいろいろ取り沙汰された。トランプ前大統領はこの事件で英雄視され勢いづくことになった。

◆共和党大統領候補決定

 7月15日から18日にかけて共和党全国大会がウィスコンシン州ミルウォーキーのファイサーブ・フォーラムにて開催された。ドナルド・トランプが大統領候補、J・D・ヴァンス上院議員(40/オハイオ州)が副大統領候補に正式指名された。

2,388ドナルド・トランプ
   41ニッキー・ヘイリー

J・D・ヴァンス上院議員

◆バイデン大統領、選挙戦撤退

 7月21日、ジョー・バイデン大統領が大統領選での再選を断念し、選挙戦から撤退することを表明した。大統領選途中で現職大統領が撤退するのは1968年のジョンソン大統領以来ということになる。
 バイデン大統領は81歳と高齢であり、このところ衰えが目立っていた。北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議でも、ウクライナのゼレンスキー大統領を「プーチン大統領」と紹介したり、ハリス副大統領を「トランプ副大統領」と呼んだりもしている。ひょっとしたら認知症が始まっているのかもしれない。
 また、6月下旬のトランプ前大統領とのテレビ討論でも精彩を欠き、民主党内からも撤退を求める声が高まっていた。

 バイデン大統領は後任としてカマラ・ハリス副大統領(60/カリフォルニア州)を指名した。

カマラ・ハリス副大統領

 一方のトランプ前大統領は、「今さら誰を擁立しても、同じことの繰り返しだ」と語り語勢を強めた。

 8月19日から22日にイリノイ州シカゴのユナイテッドセンターで民主党全国大会が開催され、カマラ・ハリス副大統領を大統領候補に選出した。

4,567カマラ・ハリス
  52候補者なし

 副大統領候補に指名されたのはティム・ウォルツ・ミネソタ州知事(60/ミネソタ州)だった。

ティム・ウォルツ・ミネソタ州知事

◆ロバート・ケネディ・ジュニア候補、選挙戦撤退

 8月24日、無所属のロバート・ケネディ・ジュニア候補が大統領選挙からの撤退を表明した。ケネディ候補は民主党候補を勝たせないためにトランプ前大統領を支持するとも表明している。
 ケネディ候補は一時は20%以上の支持率を得て台風の目とも目されていた。高い知名度もあってトランプ、バイデン両候補に批判的な層の受け皿となっていたと考えられる。それが、ハリス副大統領の後継指名によって支持層の一部が奪われたことで支持率でも低迷していた。8月の調査ではハリス副大統領の46%、トランプ前大統領の45%に対し、ケネディ候補は7%でしかなかった。
 果たしてケネディ候補の撤退は選挙戦にどのような影響を与えることになるであろうか。

◆ハリスvsトランプ

 注目のアメリカ大統領選挙は11月5日となった。民主党のカマラ・ハリス副大統領vs共和党のドナルド・トランプ前大統領。勝つのは果たしてどちらだろうか。
 11月2日の世論調査ではハリス副大統領48.1%、トランプ前大統領48.4%とその差は僅差。どちらが勝ってもおかしくない。

 大統領選挙の勝敗を左右するとされる7つの激戦州がある。ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州、ノースカロライナ州、ジョージア州、アリゾナ州、ネバダ州。今回もこれらの州が勝敗の鍵を握りそうだ。

ペンシルベニア(19)  ハリス47.8 トランプ48.2
ミシガン(15)     ハリス48.3 トランプ47.7
ウィスコンシン(10)  ハリス48.4 トランプ48.3
ノースカロライナ(16) ハリス47.4 トランプ49.1
ジョージア(16)    ハリス46.7 トランプ49.3
アリゾナ(11)     ハリス46.4 トランプ49.1
ネバダ(6)      ハリス47.1 トランプ48.8

( )は選挙人数

 このうち最新の世論調査では5つをトランプ副大統領、2つをハリス副大統領がリードしている。しかし、アリゾナとジョージアを除くといずれも2ポイント差となっており、どちらが勝つかは最後まで分からない。当選に必要な選挙人は270人だが、もし仮にこれらの接戦州をトランプ前大統領が取ると選挙人287人となり当選。逆にハリス副大統領が取ると選挙人304人となって当選となる。まだまだアメリカ大統領選挙は最後までもつれそうだ。

 遠く離れた日本から、アメリカ大統領が誰になるかを固唾を呑んで見守りたい。

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