今回の統一地方選で最初にウォッチしたのは武蔵野市議会議員選挙であった。告示日の4月16日にたまたま別件で武蔵野市に出かけていたのが幸いだった。
◆武蔵野市議会議員選挙立候補者
武蔵野市議選は定数26に対して40人が立候補していた。
そのポスター掲示板を見て驚いた。
なんだこれは! まさしくカオス。
炎上系YouTuberの煉獄コロアキ候補は、アニメ「鬼滅の刃」のキャラクター煉獄杏寿郎のコスプレ写真をポスターに用いている。
また、政治家女子48党の佐野香候補のポスターは顔写真の代わりにアバターを載せていた。文字だけで顔写真を載せないポスターや、似顔絵を用いたポスターを用いる候補は珍しくなく、ルール上も何も問題はないのであるが、なんとも異様な感じがする。
党のホームページもアバターだったので、顔出しはしない人なのかと思っていたが、選挙公報ではきちんと顔出しをしていた。
その一方、NHK党は菊竹進候補を擁立。
時事Tシャツのデザイナーで、吉祥寺でTシャツショップを経営しているとのことである。
他にポスターが気になった候補は、立憲民主党の川名雄児市議。自身を描いたイラストを載せている。
桜井夏来市議は社民党推薦。2021年の市長選の際に実施された市議補選で初当選しているが、その際は定数2に立候補者が2名で無投票当選だった。それ以前にも2回、市議選で落選しているが、2015年の市議選では武蔵野・生活者ネットワークの公認。生活者ネットが男性候補を擁立するのは初めてのことだった。
ところで、この2枚のポスター。レイアウトも年恰好もそっくりなので、一瞬同じポスターが2枚貼ってあるのかと錯覚した。
◆武蔵野市議会議員選挙ウォッチ
告示日の昼頃、武蔵境駅に向かうと多くの候補者と出会えた。
ポスターを貼っている最中だった大上茂雄候補。キャッチフレーズは「全部母音で『おおうえ』」なのだとか。
酒向萌実(さこう・もみ)候補は29歳。今回の候補者中20代は、彼女と維新の会の東山明夫候補しかいない。フレッシュな感じがする。
下田大気市議。父親はあの直木賞作家の志茂田景樹氏とのこと。とすれば、ずいぶん地味な感じではないか。
◆武蔵野市議会議員選挙開票結果
4月23日、武蔵野市議会議員選挙が投票された。開票の結果は次の通りとなった。
投票率は50.89%で前回の46.66%を大きく上回った。
政党別の当選者数は次の通り。
最多当選となったのは4議席の立憲民主党。次いで自民党、立憲民主党、公明党、共産党が3議席で拮抗する結果となった。自民党は公認候補は1議席減であったが、推薦候補3人も当選している。主要政党の公認候補は全員が当選しており、波乱は少なかったと言える。
もっとも、無所属の現職2名が涙を飲んでいる。
トップ当選したのは日本維新の会の深田貴美子・元区議。これまで4期市議を務めている。2013年と2021年には市長選にも挑戦しているが破れていた。今回、初めて維新の会の公認を得て返り咲いた。
下田市議は5位で当選。
29歳の酒向萌実候補は上位当選。28歳の東山明夫候補も当選した。
一方、大上候補はあと一歩届かず。参政党も議席には届かなかった。
煉獄コロアキ候補、佐野香候補、菊竹進候補ら色物系の候補者は誰も当選しなかった。
会派は次の通りとなった。
議長に公明党の落合勝利市議、副議長に自民党の東真理子市議を選出した。
今回の武蔵野市議選は前回より投票率が上がっている。あのカオスな状況が話題を集めたことで、投票率の引き上げにつながったのかもしれない。しかし、色物系候補が乱立することは決して良いことではない。4年前の統一地方選ではNHKから国民を守る党が躍進。その後、同党をめぐって多くのトラブルが発生している。だからこそ、有権者がきちんと政治を理解し、正しい投票を行動をすることが大切なのである。今回の武蔵野市議選において、色物系の候補者は誰ひとり当選しなかった。これは武蔵野市の有権者が正しい判断を下した結果で、武蔵野市の良識が守られたということである。