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2023年江東区長再選挙レポート
4月の統一地方選挙で実施された江東区長選挙は、自民党所属の山崎一輝都議と、木村弥生・元代議士が激突する保守分裂選挙となった。激戦の末に木村・元代議士が当選を決めた。
当選75,906(38.46%)木村 弥生 57 無所属・新①
62,147(31.49%)山崎 一輝 50 無所属・新(自民党推薦)
34,126(17.29%)猪野 隆 58 無所属・新
25,167(12.75%)芦沢 礼子 60 無所属・新(共産党、社民党支持)
ところが、当選したばかりの木村区長が、選挙期間中に有料広告動画をYouTubeに掲載したことが公職選挙法違反ではないかと問題となった。また、このYouTube動画を提案したのが江東区を含む東京15区選出の柿沢未途代議士であったことも発覚。柿沢代議士は9月に法務副大臣に就任していたばかりだったが、10月31日に責任を取って辞任。木村区長も11月15日付で区長の辞職願を提出した。
わずか半年で、江東区長選挙はやり直しとなってしまった。
◆江東区長再選挙立候補者
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江東区長選挙のやり直し選挙は12月3日に告示され、新人5人が立候補した。
大久保朋果 52 無所属・新(自民党、公明党、国民民主党、都民ファーストの会推薦)
三戸 安弥 34 無所属・新(自由を守る会推薦)
猪野 隆 58 無所属・新
小暮 裕之 44 無所属・新(日本維新の会推薦)
酒井 菜摘 37 無所属・新(立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党、生活者ネット、緑の党グリーンズジャパン支持)
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前回惜敗した山崎一輝・元都議は出馬せず、代わりに都庁職員で小池百合子都知事の側近だった大久保朋果候補が立候補した。自民党、公明党に加え都民ファーストの会、国民民主党も推薦しており、今回は与党分裂は避けられた形だ。
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野党勢からは立憲民主党所属だった酒井菜摘区議が立候補。立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党、生活者ネット、緑の党グリーンズジャパンが支持している。
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また、4月の区議選でトップ当選を果たした三戸安弥(さんのへ・あや)区議が立候補。上田令子都議率いる「自由を守る会」が推薦している。
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さらに、日本維新の会推薦で小児科医の小暮裕之候補が立候補した。
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前回区長選に引き続いての立候補は猪野隆候補のみ。「中年東大生」を売りに2012年総選挙では日本維新の会公認で東京11区から立候補して次点に終わる。その後離党し東京15区から3度立候補するも落選。区長選は2015年にも立候補している。てっきり泡沫候補かと思いきや、4月の区長選では34,126票を獲得。共産党と社民党が推薦する候補者を上回る大健闘を見せた。今回も台風の目となるかもしれない。
江東区では山崎孝明・元区長にゴルフ場私物化の疑惑があった。さらに自民党の秋元司代議士が2021年にIR汚職事件で逮捕。今回の件で柿沢未途代議士と木村弥生区長にも疑惑が噴出するなど、とにかく問題が相次いでいる。江東区の信用は地に堕ちた。新しい区長には何よりもクリーンさが求められるだろう。
◆江東区長選挙ウォッチ
今回の区長選では2名の候補者をウォッチすることが出来た。
東陽町駅前で酒井菜摘候補の街宣を見た。
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野党系の酒井候補は、古い政治との決別を盛んにアピールしていた。
また、福島出身の馬場雄基・立憲民主党代議士(比例東北)が応援演説に立つ。
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ただ、見ていると地元の赤羽目民雄・共産党区議が街宣を取り仕切っていたように、共産党色が強いという印象である。こうなると立憲民主党支持層が逃げないかが心配なところ。
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また、別の日には同じく東陽町駅前で三戸安弥候補の街宣を見た。
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酒井陣営に比べると聴衆も少なくこじんまりとしているのは「完全無所属」だから仕方がない。三戸候補は演説でもこの「完全無所属」を盛んにアピールしていた。ただ1つ気になるのは、上田令子都議率いる地域政党「自由を守る会」の推薦を受けていること。国政政党ではないからといって「自由を守る会」をノーカウントにしていいのだろうか。
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◆江東区長選挙開票結果
12月10日、江東区長選挙は投開票された。
結果は次の通り。
当選57,029(35.00%)大久保朋果 52 無所属・新(自民党、公明党、国民民主党、都民ファーストの会推薦)
34,292(21.05%)酒井 菜摘 37 無所属・新(立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党、生活者ネット、緑の党グリーンズジャパン支持)
30,132(18.49%)三戸 安弥 34 無所属・新(自由を守る会推薦)
28,819(17.69%)猪野 隆 58 無所属・新
12,649( 7.76%)小暮 裕之 44 無所属・新(日本維新の会推薦)
投票率39.20%というのは江東区では2011年の45.75%を大幅に下回り過去最低となった。
結果は与党系の大久保朋果候補の圧勝。江東区では自民党に不祥事が相次いでいたにも関わらずこの結果である。もっとも大久保候補の得票は、前回の自民系候補の合計値(138,053票)はおろか、木村前区長単独の得票(75,906票)すら下回っている。自民党への逆風は間違いなくあった。
一方、野党系の酒井菜摘候補と、三戸安弥候補の得票を足すと大久保候補を上回っていた。反自民票が分散してしまったことが大久保候補勝利の要因だといえよう。
日本維新の会推薦の小暮裕之候補は供託金没収となる惨敗。猪野隆候補をも下回った。2021年の総選挙で東京15区の維新候補は44,882票を獲得していたから、維新は候補者選びを間違えたと言えるかもしれない。
それにしても、ここまで投票率が低いというのは、いかに有権者が江東区政に飽き飽きしていたかということの表れである。当選した大久保・新区長には何よりも信頼回復に努めてもらいたいが、それは決して平坦な道ではないだろう。