新・NHKから国民を守る党をぶっ壊す!8~諸派党構想編~
2021年になって初めての「NHKから国民を守る党をぶっ壊す!」になる。昨年12月に「新・NHKから国民を守る党をぶっ壊す!7~党名変更編~」を公開してから約半年経ったが、NHKから国民を守る党(N国党)は相変わらず迷走を続けている。傍目にもかなりヤバい状況なのではないかという気がするが、果たしてこのまま党の崩壊へ突き進んでいくのであろうか。
なお、N国党はその後幾度か名称を変更し、現在の党名は「古い政党から国民を守る党」(古い党)である。さらに今後も更なる党名変更をも視野に入れている。しかしそのたびに題名を変更するというのもややこしいことこの上ない。なので、この小論の題名は今後も「NHKから国民を守る党」のままでいこうと思う。党名変更については改めて詳述したいと思うが、略称に関してはN国党時代も含めて「NHK党」を使用したいと思う。
■上杉隆幹事長問題
NHK党の内紛としては、上杉隆・前幹事長を巡るものがある。発端は3月に発売された「FLASH」の記事だった。
この記事によると上杉幹事長(当時)は、自身が代表取締役を務める「株式会社NOBORDER」を設立し、政府が公表するオープンデータなどをもとにAIが自動で記事を作成する「AIニューズ」を開発したとしていた。ところが実際は、スタッフがAIが作成した体で人力で執筆していたものだというのである。さらに、上杉幹事長はこのシステムを国民民主党に売り込み、ソフトウエア開発管理費として約260万円が支払われた。その後も月に200万~440万円、2019年9月までに3280万円が支払われたというのである。
それに加えて上杉幹事長は複数の女性を妊娠させていたこと、それを咎めた妹や弟に対する冷酷な仕打ち、80歳を超える母親への恫喝などが暴露された。
これを受けてNHK党の立花孝志党首は、YOUTUBEに弁明の動画を挙げた。
3月5日のNHK党の定例記者会見で、立花代表は公党の幹事長として疑惑が晴れるまでは上杉幹事長への240万の報酬を止めるとした。そればかりか、籠池泰典・元森友学園理事長の娘を妊娠させたのは上杉幹事長ではないかということまで言い出したのである。
公党の代表であるならば、疑惑が晴れるまでは身内を庇うべきではないかと思うのだが、立花党首は身内であっても手厳しい。
これを受けて上杉幹事長は公式サイト上で幹事長の辞任を表明した。
■離党ドミノ現象
NHK党を離れたのは上杉幹事長だけではない。2019年の統一地方選で当選した、ニコ生主・NERこと國場雄大・品川区議が2021年1月16日NHK党からの離党を表明した。
それだけでなく立憲民主党への入党を表明したのだ。
同党の松原仁代議士は國場区議の受け入れる旨を述べたが、この件に関してはいろいろ批判もあったらしく、党都連会長の長妻昭代議士はそれに待ったをかけている。
しかしながらこのようにNHK党から他党への移籍というのは今後も引き続き起きるであろうことが容易に予想される。
2021年3月には、NHK党の広報室長だった“ゆづか姫”こと新藤加菜氏がやはり3月末での党からの“卒業”を表明した。
新藤氏は2020年の都議補欠選(北区)にホリエモン新党から立候補して落選。千葉県印西市長選挙にも立候補した。次期総選挙でも広島3区から立候補することが決まっていたが辞退するとのことだ。「知見が広がるほどにNHK問題だけでなく、ほかにもやりたいことが見えてきて」というのが離党の理由である。
國場区議も新藤氏もネット界ではそこそこ名の知れた人物であるが、こうした広告塔とも言うべき人物がNHK党を離れることは、党にとってかなり痛手である。2019年の統一地方選直後、NHK党の地方議員は39名にまで膨れ上がったが、その後離党が相次ぎ、現在は30人となっている。
■居住実態問題
NHK党は都市部など当選しやすい選挙区を狙って候補者を擁立するという戦術を用いてきた。実際、立花党首自身もこれまでに大阪府摂津市、東京都町田市、千葉県船橋市(当選)、東京都葛飾区(当選)の市議・区議選に立候補している。大橋昌信・副党首(写真下)も埼玉県朝霞市議を辞職して千葉県柏市議に当選した。そのため、所属議員の居住実態の有無がしばしば問題となっている。
統一地方選で新宿区議に当選した松田美樹氏の場合もそのような疑惑が持たれた。新宿区選挙管理委員会は2020年6月、松田氏の当選を無効とする決定をした。松田氏はその決定を不服として決定取り消しを求め、高裁に提訴していたが棄却され、最高裁に上告していた。2021年4月27日の判決の直前、松田氏は22日付けでの区議の辞職と上告の取り下げを申請した。
立花党首は「変な判決をつくってしまうのもおかしい。居住実態が必要だと言っているのは区議や市議会。(松田氏が)政治の道に来ている以上、国政選挙の方に来て、議員を目指してもらいたい」と語り、菅原一秀・前経産相の地盤の衆院東京9区からの立候補を表明した。また、7月の都議選にも練馬選挙区から「社会参加を応援する党」として立候補する。
■選挙32連敗
2019年の参院選の頃までは確かにNHK党には勢いがあった。しかし、現在ではすっかり見る影もない。2020年、NHK党関係者は27人が立候補しているが、当選したのはわずかに2名。2月16日の埼玉県新座市議選で当選したのを最後に、無投票だった埼玉県志木市議選を除いて連敗が続いている。
今年の選挙も9連続落選で、これで選挙の連敗は32まで伸びた。今後は6月20日の船橋市議補選、魚沼市議選にも候補者を擁立する予定であるが、果たしてこの悪い記録を断ち切ることが出来るであろうか。
■党名変更
「NHKから国民を守る党」は2020年12月16日に「NHKから自国民を守る党」略称「自民党」への党名変更を決定した。しかしながら中央選挙管理会は略称の「自民党」については「自由民主党の略称として広く通用しており、有権者の混乱をもたらすため」として不受理とした。そのため、略称を「NHK」とすることに落ち着いた。
2021年2月5日、今度は党名を「NHK受信料を支払わない方法を教える党」略称は「NHK党」と変更した。立花党首はNHK受信料を“合法的”に支払わない方法を伝えていくことを目的とすると語っている。具体的には、NHKとの契約を済ませた上で、受信料の支払いをコンビニ振り込みに設定した上で、踏み倒すというのである。
さらに立花党首は、今後も4月の衆院補選など選挙のたびに党名を「NHKが来たら内緒で録音してください党」、「NHKの弁護士法72条違反を追及する党」、「NHKスクランブル放送実現党」と変えていくと語った。ただし、略称はいずれも「NHK党」ということである。
一部のマスコミは「NHK受信料を支払わない方法を教える党」を「N教党」と略していた。なるほど「NHK党」では、NHKが設立した政党だと勘違いする人も出てしまうかもしれない。それが立花党首の狙いという可能性もある。しかしN教であれば「N響」(NHK交響楽団)と紛らわしいともいえるが、カルト宗教ぽいニュアンスがある。N国党の熱狂的支持者を「N国信者」とも言うだけに、実に言い得て妙である。
■新政治団体立ち上げ
立花党首は2020年7月に「ホリエモン新党」を設立し、都知事選や都議補選に候補を擁立していた。また、年末には上杉隆幹事長(当時)を代表として「日本ゴルフ党」の立ち上げを発表したが、結局立ち消えになっている。その立花代表は次々と新しい政治団体の立ち上げを表明している。
2021年3月には「パチンコ党」を立ち上げ、パチプロの能力を政治の世界で使いたいと発言した。
立花党首はかつては「パチプロ」で、全盛期には年収が1億円以上あった自称している。確かにパチプロはバカでは出来ないだろう。立花党首は、6月の尼崎市議選に候補者を擁立するつもりであるが、今のところ候補者は決まっていないという。
さらに4月には「薄毛の方の人権を守る党(ハゲ党)」を立ち上げた。立花党首自身、薄毛に悩んでいるそうで、かつてのあだ名は「ハゲ孝」、「ハゲシ君」、「ハゲル君」であったという。そんなハゲの人たちを差別から守ろうというのである。
こちらは堀江政経塾1期生の小林宏氏が党首に就任している。
私も髪の毛には悩みがあるのだが、はっきり言って「支持政党はハゲ党です」とはなかなか公言しにくい(笑)
さらに衆院北海道2区補選に立候補した齊藤忠行氏に「内部告発者を守る党」(内部告発党)を設立させた。
また、都議選大田区選挙から立候補を予定している片岡将志氏には「心の病党」を設立させている。
さらに、元ZOZOTOWN社長の前澤友作氏にも声を掛けているようだ。
「NHKから国民を守る党」は政策をNHK問題に絞ることで国政政党にまで上り詰めることが出来た。こうした成功体験で味をしめたことが、立花氏にこうしたワンイシュー政党の立ち上げに思い至ったのであろう。しかし正直、こうした「ゴルフ党」「パチンコ党」「ハゲ党」などはいずれも、立花党首の単なる思いつきでしかないような気がする。
■船橋市議補
立花孝志党首は6月13日告示、6月20日投票の千葉県船橋市議会議員補欠選挙においてとある実験を行ないたいという。その実験とは、様々な名義の政治団体の候補者を複数擁立し、どの政治団体が一番多くの得票を挙げられるかを見るというもの。
立花党首によると、次の9つの政治団体から候補者を立てたいという。
なるほど、アイディアとしては面白いが、果たして実現するだろうか?
私は限りなく実現の可能性は低いと予想している。というのも、定数1の補欠選挙に複数の候補者を擁立するということ自体が、当選を度外視しており、有権者に対して選挙を嘗めているという印象を与える。実際に立候補の申し出があるとは思えない。
ところが、立花党首によると、すでに4名の立候補希望者がいるというのである。これには驚く他ない。1人はハゲ党、もう1人は動物愛護党から立候補を希望しているそうだ。
■諸派党構想
立花党首は以前から、次期衆院選において「オリーブの木」構想を提唱していた。これは、すでに政党となっているNHK党を基盤に、各種政治団体を合同させ、統一名簿で選挙(比例代表区)を戦おうというものである。立花党首はそのために、NHK党を「諸派党」に党名変更するとも語った。
確かに小政党がN国党に合同することにはメリットがある。小政党が衆院比例区に候補者を立てるには定数の5分の1を超える候補者を立てなくてはならない。つまり定数17の東京ブロックであれば4人、最小の定数6の四国ブロックは2人、最大の定数29の関西ブロックなら6人ということになる。ところがN国党の場合は政党であるため、各ブロックに1名から候補者を立てることが可能となる。また、政党しか行なえない衆院選での政見放送を行なうことも出来る。さらに、得票率に応じて政党助成金を得ることも可能だ。
実際、ビジュアル系バンドが設立した「ジャックケイパー党」と、千葉県東金市議選で候補者を擁立した「子供の未来を守る党」の2つがこの呼びかけに応じ諸派党構想への参加を表明している。また、立花党首が「パチンコ党」や「ハゲ党」などの政治団体を次々と立ち上げていることも、諸派連合に少しでも多くの政治団体を参加させるためであるのだろう。
■古い政党から国民を守る党
5月7日、立花党首は「NHK受信料を支払わない方法を教える党」を「特になし」と変更することを発表した。その理由としては、立花党首は「あまりにもやりたいことがいっぱいあるので」と述べているが、既成政党を支持しない有権者の票を集約することが目標なのだろう。実際、政党支持率の世論調査では「特になし」としている有権者は4割に上る。
また、立花党首は諸派党構想に参集する政治団体として、生活保護党、パチンコ党、おっさん党、誹謗中傷党、年金党、ロケット党、いじめ党、スーパークレイジー君党、プロレス党、ゴルフ党、動物党、農業党、ハゲ党、愛煙党、NHK党、ジャックケイパー党、子ども党、直接民主主義党、内部告発党、門田党、不登校党、生主党、学費無料党の23の名前を挙げた。
「スーパークレイジー君党」は、先日戸田市議に当選したスーパークレイジー君の名前を冠しているが、彼同様の前科者を支援する党。「門田党」は伊賀市議選で落選した門田節代氏のことだろう。生主党は久保田学(横山緑)立川市議のようなニコ生主が政治に関わる党。よくもまあこんな変な政治団体を思い付いたものだ。どこまで本気なのだろうか。
しかしながら、新党名「特になし」は総務省によってストップがかかってしまった。「特になし」だと「社会通念上、国民が誤認する恐れがある」というのが理由。そこで立花党首は党名を「古い政党から国民を守る党」に変更した。略称は「古い党」となる。
また、新たに政治団体としての「NHKから国民を守る党」を立ち上げ、NHK問題についてはそちらで対応していくとのことだ。
■つばさの党、諸派党参加?
立花党首は以前、諸派党構想へ参加を要請する政治団体として幸福実現党、日本第一党、オリーブの木(現・つばさの党)、参政党の名を挙げていた。このうち、つばさの党(旧・オリーブの木)は黒川敦彦代表が連携に前向きとのことである。もともと旧・オリーブの木は、新党憲法9条、自由国民党、平和の党、ピープルパワーの4党が集結して成立している。つまり、理念としては諸派党構想と一致しているのである。
もっとも現在のつばさの党は分裂もあってピープルパワー出身の黒川代表を中心とした政治団体となっているようである。しかし現在埼玉県朝霞市議会と神奈川県座間市議会に議席を持っており、実際に参加することとなれば諸派党構想に与える影響は小さくないだろう。最終的には6月5日新宿駅西口の街頭集会で決定するとのことである。
◼️NHK党の迷走
立花党首は来る総選挙において全11ある比例代表区の全てに候補者を立てるという。果たしてNHK党改め古い党がどこまで支持を集めることができるだろうか。
諸派党構想で各政治団体が合同すれば、確かに死に票は減るのかもしれない。だが、「古い党」の下に集結したというのでは、結局のところ立花党首の掌中にあることになってしまう。また、政見放送も古い党全体で行なうことになるから、それぞれの党が自分たちの主張をすることは難しい。他の政治団体の中に埋もれてしまう恐れがある。これでは実績のある政治団体にとってはあまりメリットがあるようには思えない。
さらに、例え諸派が合同したからといって当選出来るかどうかはわからない。2011年参院選に徳田虎雄代議士(当時)率いる自由連合は、著名人やミニ政党の出身者を大量に擁立したものの1議席も獲得出来なかった。
諸派党構想は確かに見かけ上は多くの政治団体が集結している。しかし、中身はほとんどが古い党の衛星団体である。後は極小政党がいくつかある程度。これでは実態としてこれまでのNHK党とほとんど一緒でしかない。結局のところ有権者にもすぐに見抜かれてしまい、結果は惨敗に終わるのではないだろうか…。
この諸派党構想についても、私は正直悲観的な見立てしか出来ない。だが、2019年参院選の時も予想を裏切って議席を獲得した。今度も我々を驚かす結果が待っているかもしれない。
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