2023年朝霞市議会議員選挙レポート
埼玉県朝霞市議会議員選挙が11月26日告示、12月3日投票で行なわれた。
定数24を32人で争う選挙だったが、なかなかカオスな顔ぶれが揃い、興味深いものとなっていた。
◆朝霞市議会議員選挙立候補者
朝霞市議選に立候補したのは次の通り。
朝霞市議会はもともと、富岡勝則市長の与党会派であった輝政会が24議席中11議席を占めていた。それが2022年12月、富岡市長の埼玉県議会議員選挙の対応を巡り、うち7人が離脱し新会派「あさか未来」を結成した。残る4名は「進政会」と会派名を変更していた。なんでも、県議選の際に富岡市長が4年前に自ら立てた候補でなく対立候補と並んで写る2連ポスターを作成したことをきっかけとして、それまでの不満が爆発。会派分裂に繋がったというのである。
公明党は現職5人が引き続き出馬し、現有議席の維持を狙う。
現有3議席の共産党は70代のベテラン議員2名が引退。後継候補が立てられず、2名減となった。
前回は「オリーブの木」で初当選した外山麻貴市議は、今回は「つばさの党」で立候補。同党唯一の地方議員として議席の維持を目指す。
原田公成市議は前回は国政政党だった「NHKから国民を守る党」公認で当選。その後党では、立花孝志・前党首と大津綾香・現党首の間で党の資金や代表権を巡っての対立が発生。大津党首の「みんなでつくる党」ではなく、立花党首の政治団体「NHKから国民を守る」で出馬することとなった。旧NHK党の候補者は最近、党名を隠した「ステルス候補」として立候補して当選するという例が増えているが、原田市議は敢えて原点とも言うべき「NHKから国民を守る党」の名前で臨んでいる。
また、掛川暁生候補は、元NHKから国民を守る党・台東区議。統一地方選で落選し、朝霞で再起を期している。今回は「子育て高齢福祉の会」公認。噂では掛川候補は大津綾香党首派で、原田市議への刺客として立候補したのではないかとも言われている。
さらに、つばさの党の黒川代表は、元政治家女子48党幹事長で、やはり大津派。掛川候補と外山市議で潰し合いになりはしまいか。いずれにせよ、原田市議も交えて票がどう動くのかが注目である。
参院選で議席を獲得し勢いに乗る参政党も高堀亮太郎候補を立てている。
もう一人気になる候補を発見した。無所属の兼本尚昌候補。ホームページによると、政治団体「あさかチャレンジ」代表とのこと。「SNSフォロワー数1万人以上の実力者」と書いてあるのが逆に怪しさを醸し出している。
獅子倉晴樹候補は、今回引退する獅子倉千代子議長の孫。地元から議員がいなくなることを憂慮して今回立候補したとのこと。
◆朝霞市議選ウォッチ
とある日の夕方、北朝霞駅で下車した。
北朝霞駅では、東口に日本維新の会の権純一候補陣営(写真上)、西口につばさの党の外山麻貴市議陣営(写真下)が陣取って街宣を行っているようだ。
権純一候補は、演説は陣営の人に任せて、ただひたすら道行く人にビラを配っていた。
一方の外山陣営は、候補者本人はまだ来ておらず、つばさの党の黒川敦彦代表らが応援演説を行っていた。
東口に柏谷勝幸市議の街宣車が到着。権陣営がスピーチを譲るという場面が見られた。
ちなみに柏谷市議のトレードマークは柏餅。本人の好物も柏餅らしい。
外山陣営は、長井秀和・西東京市議が応援にかけつけるという。「間違いない!」で一世を風靡したお笑いタレント。西東京市議選では黒川代表が協力している場面を見ている。そのお返しということか。
ただ、この長井市議、4月の統一地方選では「反カルト宗教」を旗印に多くの候補者を応援したのだが、その大半が落選している。いわば“落選請負人”。果たして今回はどうなるのか。
外山市議本人が到着。
しばらくして長井秀和市議も到着した。
西東京市議選の街宣では下ネタを連発し一部の顰蹙を買っていた長井市議だったが…。
ここでも朝霞の熟女パブの話題を出すなど相変わらず。ダメだこりゃ。
外山市議にとって、長井市議の応援が逆効果にならなければいいのだが…。
4期目を目指す黒川滋市議はNO選挙カーで選挙運動を行っている。
駅頭の混雑緩和のため駅頭での街宣を断念したとのことたが、ブログでは外山陣営が朝霞市内の駅の2ヶ所の出口を常時占拠していることを批判していた。
確かに北朝霞駅の西口では、外山陣営の演説とカメラの間を通らなければならない状態であり、迷惑だと言われても仕方がない。そのくせ、演説場所を頻繁に移動したり、スタッフが駅の出口の名前を知らなかったりと、ずいぶんと素人ぽい行動が目立っていた。NHK党時代に黒川代表があれだけ選挙をやっていたのはなんだったのだろう。マナーやノウハウをちゃんと伝えて欲しいものだ。
◆朝霞市議会議員選挙開票結果
12月3日、埼玉県朝霞市議会議員選挙が投票され、即日開票された。投票率は34.60%で、前回の31.43%を上回った。
結果は次の通り。
政党の公認・推薦を受けた候補者は全員が当選した。つばさの党の外山麻貴市議も、前回の1,240票から大きく票を伸ばし、3位で再選を決めた。長井秀和市議が応援すると落選するというジンクスはこれで払われたか。長井市議は同日に行なわれた上尾市議選でも現職の佐藤恵理子市議を応援したがやはり当選している。
その一方で、政治団体「NHKから国民を守る党」で再選を狙った原田公成市議は、前回の941票から大きく票を減らして落選した。NHK党の名前を隠した「ステルス候補」でなく、NHK党の看板を全面に出した場合では、このように厳しい結果となるということであろうか。
元NHK党台東区議の掛川暁生候補も惨敗。掛川候補は原田市議の刺客という噂もあったが、両者の票を足しても当選には届かない結果だった。
日本維新の会の権純一候補、参政党の高堀亮太郎候補は共に初当選。政党の勢いそのままの結果となった。
現職では原田市議の他は柏谷勝幸市議が落選している。彼の街宣は私も偶然、北朝霞で見ているのだが、及ばなかったようだ。
個人的に気になっていた兼本尚昌候補は当選している。ホームページを見て「怪しい」と思ってしまったことを申し訳ないと思う。
それよりも茅野昌文候補が、朝霞市議選に落選したばかりにもかかわらず、来年4月の志木市議選に立候補を表明している点が気になる。茅野候補は統一地方選ではさいたま市議会議員選挙(北区)に立候補しており、こうも短い期間に転々とするのは、本気で当選するつもりがあったのかどうかが疑わしい。これでは第2の後藤輝樹となってしまいそうだ。
◆最大会派はどこに?
政党別では公明党が5議席を維持している。
一方、最大会派であった「あさか未来」は現職5人が立候補し4人当選している。あさか未来所属の須田義博市議の後継の渡部竜二候補も当選。同じくあさか未来所属の獅子倉千代子議長の後継の獅子倉晴樹候補も当選したが、ポスターに富岡市長の写真を載せているため、あさか未来入りするかどうかは不明。
進政会は現職2名の当選に留まったが、富岡市長が応援する(ポスターに写真が入っている)候補者は他に権純一候補、獅子倉晴樹候補、増田友美候補が当選している(須崎幸彦候補は落選)。引き続き富岡市長派は影響力を保ちそうである。
立憲民主党会派は本田麻希子市議がトップ当選。黒川滋市議も議席を守った。共産党は1議席を守っている。
果たして最大会派はどうなるのか、各会派の今後の駆け引きにも注目していきたい。