2020年荒川区長選挙・区議会議員補欠選挙レポート
新型コロナウィルスは日本の選挙にもいろいろと影響を与えている。候補者が街頭演説を控えたり、握手を避けたり…、今までとは違った形の選挙を行なわざるを得ない。やはり不用意に人混み出ることを避けようとすると、選挙ウォッチも思うように出来なくなる。
緊急事態宣言が出て以降も4月の目黒区長選挙や福生市長選挙、5月の港区長選挙など面白い選挙はあったのだが、泣く泣くウォッチを諦めることとなった。
11月1日告示、8日投票の荒川区長選挙・荒川区議会議員補欠選挙(欠員1)を久しぶりにウォッチすることにした。
■荒川区長選挙立候補者
区長選挙に立候補したのは次の2人。
西川太一郎 78 無所属・現(自民党荒川総支部・公明党都本部推薦)
湯川 一俊 71 無所属・新(立憲民主党・共産党・社民党支持)
現職の西川区長は5選を目指している。もともとは新自由クラブで都議に当選。その後自民党に入るものの、1993年の総選挙に新生党から立候補して当選した。小沢一郎代議士の中学時代の同級生であったが、自由党分裂の際に袂を分かって保守党に参加。2003年に総選挙で落選している。しかし2004年、藤沢志光・荒川区長が収賄疑惑で逮捕・辞職した際の区長選に立候補して当選した。現在は自民党・二階派の顧問にも就任し、以来磐石の状態で当選を重ねてきた。
対する湯川候補は元小学校教師。4年前は民進党が西川区長を支援したが、今回立憲民主党は対立候補の応援に回り、野党共闘が実現した。もっとも、湯川候補自身は共産党色の強い候補のようである。
当初は都知事選にも立候補したスーパー・クレイジー君こと西本誠氏も出馬の意向であったが、直前になって断念した。
■荒川区議補選立候補者
また、定数1の区議補選には4人が立候補した。
土橋 圭子 63 自民党・新(公明党荒川総支部推薦)
山本 剛 42 無所属・新
鈴木 賢一 59 共産党・新
前田 真司 44 無所属・新
欠員は小坂眞三区議の逝去によるもので、自民党は後継として女性の土橋候補を擁立した。
野党からは共産党の鈴木賢一候補。過去に4回都議選に立候補している。
また、無所属で40代の若手候補が立候補している。
山本剛候補は「減税とうきょう」の旗印を掲げる。減税とうきょうは港区長選に立候補した飯田佳宏氏が代表を務め、山本候補は副代表だそうである。2017年都議選や19年区議戦で落選した経験がある。
前田真司候補はポスターによると「赤い帽子」が目印らしいが、写真では被っていない。
2005年総選挙では、荒川区を含む東京14区から無所属で立候補したが最下位に終わっている。
■荒川区議選・区議補選ウォッチ
一応、この選挙戦をウォッチしようと思い、最終日の夕方日暮里から西日暮里を歩いてみたのだが、残念ながら候補者には1人も会えなかった。やはりこのご時世、候補者はあまり街宣を行なっていないのだろうか?
仕方がないので、ポスターを写真撮影するだけで荒川区を後にした。
■区長選開票結果
11月9日、荒川区長選挙・区議会議員補欠選挙が投票された。
区長選挙の投票率は31.85%となり、前回の30.44%を上回った。
前回2016年の区長選の結果は次の通りとなっている。
当選37,126西川太一郎 74 無所属・現(自民党、民進党、公明党推薦)
12,148茂木 正道 62 無所属・新(共産党推薦)
今回の開票結果は次の通り。
当選37,066西川太一郎 78 無所属・現(自民党荒川総支部・公明党都本部推薦)
15,255湯川 一俊 71 無所属・新(立憲民主党・共産党・社民党支持)
投票率は上がったが、西川区長の得票は若干減ったものの得票はほぼ横ばいである。一方、湯川候補は前回の共産党推薦候補より3千票を上乗せした。もっとも昨年の参院選比例区で立憲民主党が荒川区内で獲得した票が約1万票あることを考えると、ほとんど票は流れていないのではないだろうか。やはり共産党色が強い候補者であったことが響いたように思われる。
■区議補選開票結果
区議補選の投票率は31.84%。昨年の区議選の44.00%を大きく下回った。
開票結果は次の通り。
当選2,3750土橋 圭子 63 自民党・新(公明党荒川総支部推薦)
13,021鈴木 賢一 59 共産党・新
11,719山本 剛 42 無所属・新
2,508前田 真司 44 無所属・新
結果は順当に自民党の土橋候補が当選し、自民党の議席を守ることとなった。
そんな中、無所属の山本候補が共産党の鈴木候補に肉薄する結果を残したのは注目に値する。山本候補は昨年の区議選ではわずか979票(最下位当選1,231票)で惨敗であったが、実に12倍近い得票を挙げている。もっともこれは自民党にも共産党にも入れたくない有権者の票をある程度集めることが出来たということで、必ずしも山本候補が支持を集めたことではないだろう。
前田候補は支持が伸びず惨敗に終わった。
■衆院選展望
今回の区長選・区議補選には、与野党とも国会議員が応援に駆け付けているようであった。解散総選挙がそう遠くない時期に行なわれることが確実で、それを踏まえてのことであったのだろう。
荒川区は衆議院では墨田区、台東区の一部と共に東京14区に区分されている。ここは自民党の松島みどり元法相の鉄板の選挙区となっている。
今回の荒川区長選も区議補選も結果的には順当といえる結果であった。新型コロナウィルスの収束は未だ見えず、第3波の到来も懸念される今日この頃だが、荒川区の有権者は変革よりも安定を選択したと言えるだろう。
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