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レポート8
この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。
90代女性。基礎疾患には糖尿病があったが、寧ろ食事が摂れずに、尿路感染症などを繰り返していた経過があった。前医を退院後に施設入所となり、当診療所へ訪問診療の依頼があった。
けれども初診時ですでに尿ケトンが強陽性で、間もなく当診に入院。
それでも何とか回復し、退院後は食事も摂れ、穏やかな日々を過ごされていた。
退院して1年くらい経った頃から、また食事量が減ってきていた。明らかな熱発や、血液・尿検査では異常がなく、ひとまず点滴で経過を見ることとしていた。
しかし長期連休中に熱発し、救急病院へ搬送となり、肺炎の診断で治療。
摂食状況が全く回復せず、また点滴も困難になってしまい、CVポートを入れて当診へ転院となった。
前医でも食事が提供されていたこともあって、リハビリを行いつつ流動食を開始していたが、転院当日に咽せて詰まらせてしまい、再度肺炎治療を行うことになってしまった。その後も摂食状況は回復せず、内服も困難となり、それまで行われていた低栄養輸液から、高栄養輸液に切り替えた。
ところがこの頃から血圧が一気に180-200代に上昇してしまい、腎機能が悪化し始めた。低栄養状態は改善せず、却ってアルブミン値は低下していき、胸水が増多していった。利尿剤を使用しても、反応に乏しい。低アルブミン血症にアルブミン製剤の使用を勧められ行ってみたが、データは回復せず、結局一度目の肺炎発症から3か月を過ぎたころに逝去された。
考察
いまだに、この時何が起こっていたのか、この状態悪化が何故起きていたのか、理解できていない。
仮説の域を出ないが、ひょっとすると、「リフィーディング症候群」だったのだろうかと、今は考えている。
基礎疾患の事もあり、当然血糖は毎日チェックし、毎日ではなかったがK・Mgまではチェックしていたが、Pのチェックはしていなかった。
1号輸液の最も少ない量で開始し、またビタミンや微量元素も含まれていたため、これに不備があるとは露も思っていなかった。
しかし、引用記事の開始用量を見ると、低体重であった当該患者様には、これでも10kcal/kg ・日を上回る量であった。
それに、VitB1も輸液に含まれているのとは別に多く補わなければならなかったのではないか。
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2020/PA03371_02
この引用記事によると、”これらの電解質異常を伴わず,急速に進行する全身の浮腫と胸水,腹水の貯留を認めるrefeeding症候群のタイプもあります。”とのことで、今回はこれに該当してしまったのではないかとも感じている。