最近の記事

レポート10

この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 80歳代の女性。施設入所となり当診療所に紹介となっていた。 降圧薬(Ca拮抗薬)、そして認知症薬(コリンエステラーゼ阻害剤)の2剤を服用していたが、基本的にはお元気で穏やかだった。 1年半が経過したころ、施設職員より、夕方から夜間に掛けての尿失禁が多いとの相談を受けるようになった。当初は1回尿量は多いものの回数はあまり多くなく、職員対応が可能とのことで経過観察していたが、2年が経過したころには夕方以降になると1時

    • レポート9

      この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 80歳代の施設入所中の女性。もともと狭心症・慢性心不全を指摘されているが、基本的には悪化時も高次病院への受診は希望しないとの方針であった。訪問診療の引継のため当診療所に紹介後も、ずっと落ち着いていた。 当診での訪問開始後10年が経過したころ、歩行時に胸苦感を訴えるようになった。とはいえ、足が悪いので平地をゆっくりとしか歩けていない。 UCGでは明らかな悪化無し。 ホルター心電図の結果では、明らかなST変動は無し。常

      • レポート8

        この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 90代女性。基礎疾患には糖尿病があったが、寧ろ食事が摂れずに、尿路感染症などを繰り返していた経過があった。前医を退院後に施設入所となり、当診療所へ訪問診療の依頼があった。 けれども初診時ですでに尿ケトンが強陽性で、間もなく当診に入院。 それでも何とか回復し、退院後は食事も摂れ、穏やかな日々を過ごされていた。 退院して1年くらい経った頃から、また食事量が減ってきていた。明らかな熱発や、血液・尿検査では異常がなく、ひ

        • レポート7

          この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 90代の女性、C型肝炎・肝硬変および心房細動などの基礎疾患があった。 前医で半年ほど在宅訪問診療を受けていたが、施設入所されることになり、担当であった当診療所で訪問診療を引き継ぐことになった。 難聴はあったものの、受け答えはしっかりされている方だった。 肺炎の既往があり、湿性咳嗽のコントロールを必要としていたが、 基本的には施設内歩行も自立されており、お元気で過ごされていた。 訪問を開始して約1年後の2月に、AF

          レポート6

          この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 90歳代女性。脳血管腫術後、頚椎症が主病名。 既往症として大腸ポリープ切除後、後から切除組織内に腺癌が含まれていたことが判明したが、それ以降大腸内視鏡検査は行っていない。 頚椎症による手のしびれ・動作困難などで要介護状態となり、独居困難のためご家族を頼って当地に転居、施設入所された。入所と同時に訪問診療開始。徐々に歩行も困難となり、車いす介助が必要となってきていた。 訪問開始4年目の秋、定時訪問に伺うと、「3日前

          レポート6

          レポート5

          この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 その日は午後からの外来担当で、午前だけで帰るDrから、さっき受診された患者さんの引継ぎを受けた。 普段は整形外科に通院中の60歳代男性。この日はリハビリに来ていたが、 言葉が思うように出ない、という症状で初診となった。 午前のDrは「意識障害」というアセスメントでいろいろ検査をしたようだったが、採血検査の結果が出ないので引き継いだ。先にもう一度診察させて欲しいとお願いし、入室してもらった。 意識障害というよりは、思

          レポート5

          ふじみ野市 猟銃による訪問診療医殺害事件に思うこと

          この記事は2/6に修正しました。今後も予告なしに加筆修正を行います。 何よりも、犠牲になられた鈴木純一医師のご冥福を心からお祈り申し上げます。また、重症と報道されている医療従事者の方が一日も早く回復されますよう、お祈り申し上げます。 この事件を知ってから、あまりの衝撃に、胸が押し潰されるような思いが拭えない。断片的に渡辺宏容疑者の発言や行動などが漏れ伝わっているが、全容解明はこれからだろうと思う。 こんな悲劇を二度と引き起こしてはならないし、そのために何が出来るのか? 

          ふじみ野市 猟銃による訪問診療医殺害事件に思うこと

          レポート4

          この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 もともと心疾患で他院に掛かっていた、80歳代の女性。 重症肺炎で、とある年の12月に入院。心不全悪化し入院は長期化。 在宅酸素療法を開始したうえでの自宅往診を希望され、うちに紹介入院されたのは翌年の4月の末だった。 CT所見から間質性肺炎が強く疑われ、KL-6も高値だった。 PO2は安静坐位で55、体動直後で44に低下。pCO2は40前後。入院中から呼吸数28~32回と呼吸促拍だった。 本当は安静時0.5L/分、体

          レポート4

          レポート3

          この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 脳梗塞後の男性。片麻痺と言語障害があったけれども、 車いすを自走して大抵のことは自分でやれていた。 診療所で往診に行っていたが、 15年くらい経った時に奥様が亡くなられた。 かなり頑固で気難しい方で、子供たちとも疎遠になっていた様子。 結局は施設に入所されることとなり、 施設の嘱託医ではなく、うちで往診を継続することになった。 その時点で私に担当が代わることになったのだが、 意思疎通がなかなか難しいうえに、こだわり

          レポート3

          レポート2

          この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 脳梗塞と両側の大腿骨骨折の既往があって、寝たきりだった女性。 救急病院に入院した時に尿道カテーテルを留置、外せないと判断されたため、往診を希望してうちの診療所へ紹介となった。 両脚が痛くて寝返りが打てず、ずっと仰向けで寝ているものだから、いつしか背中から脚の後ろ側に皮膚炎が生じ、だんだん酷くなる一方だった。 2年くらい経ったある日の金曜日に訪問看護師から連絡あり、 ”昨日(木)カテーテルの詰まりが強く交換したが、

          レポート2

          レポート1

          この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。 高血圧で診療所に掛かっていた女性。 忘れて受診されなくなった。 認知症の進行で引き籠り。 もともとは社交的で明るいおばあちゃんだった。 でも人と会っても誰なのか思い出せず、 会話ができないのが苦痛になっていたと、後で聞いた。 家族は出火を恐れ、何度も介護申請を行ったが、調査員が入ると その時だけはシャキッとして話を合わせてしまう。 すべて非該当となってしまった。 車でどこかに行こうとすると、走行中のドアを開けて飛び

          レポート1

          茨戸アカシアハイツでの新型コロナウイルス集団感染をめぐる報道

          1.UHB コロナといのちの選別 感染で隔絶された人々2020年5月30日(土)放送。YouTube公式サイトに 文字起こしも含めてUPされています。 2.NHK 北海道スペシャル「検証 茨戸アカシアハイツ~“介護崩壊”は防げなかったのか~」 2020年7月10日(金)放送。  サブタイトルは勝手に付けました。 プロローグ (ナレ)防護服を着たスタッフが階段を上がると 2階には感染者が隔離されていました フロア内を歩き回る感染者 スタッフは感染リスクと隣り合わせで接

          茨戸アカシアハイツでの新型コロナウイルス集団感染をめぐる報道

          北海道内の新型コロナウイルス院内感染まとめ(疑いを含む・2020/5/11まで)

          ●函館市(第二種感染症指定)市立函館病院 2月22日、50歳代看護師1人の陽性が判明。 道内4例目の感染者となった七飯町議員60代男性に一番最初(2/14)に病院内の問診センターで対応していた。 町議は2/3に微熱や咽頭痛の症状が出た。2/7にかかりつけの診療所を受診し、改善しないことから、2/13日に再び同じ診療所を訪ねたところ、両肺に肺炎があることが分かった。2/14に市立函館病院を受診。しかしこの時PCR検査は行われず、議員は帰宅。5日後の2/19に議員が再び診察を受

          北海道内の新型コロナウイルス院内感染まとめ(疑いを含む・2020/5/11まで)

          永寿総合病院における新型コロナウイルス院内感染の報道から何を学ぶべきか?

          (4/21初出、4/25加筆) 公式なものは、4/13に厚生省クラスター班が纏めた報告書がある。 http://www.eijuhp.com/user/media/eiju/chousasiennhoukoku.pdf そのなかにこのような記述がある。 ”なお、永寿総合病院では都内で2月中旬に発生した集団発生に関連したと考えられる事例(PCR陽性例は3例)と海外帰りのPCR陽性例1例の診療を2月に行っている。これらの症例は今回の流行の起点となったA, B病棟とは異なる病

          永寿総合病院における新型コロナウイルス院内感染の報道から何を学ぶべきか?