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レポート4
この投稿はフィクションです。予告なしに加筆修正を行います。
もともと心疾患で他院に掛かっていた、80歳代の女性。
重症肺炎で、とある年の12月に入院。心不全悪化し入院は長期化。
在宅酸素療法を開始したうえでの自宅往診を希望され、うちに紹介入院されたのは翌年の4月の末だった。
CT所見から間質性肺炎が強く疑われ、KL-6も高値だった。
PO2は安静坐位で55、体動直後で44に低下。pCO2は40前後。入院中から呼吸数28~32回と呼吸促拍だった。
本当は安静時0.5L/分、体動時に2.0L/分に変更するのが望ましかったが、日中独居の状態でご本人がO2調整を行うのは困難なため、常時2L/分で継続の上6月の初めに退院することになった。
しかし6月下旬頃よりしばしば動悸症状や頻呼吸~過呼吸状態(呼吸数60回/分)が出現し、訪問看護が頻繁に緊急コールを受けることが続いた。
7月に入ってすぐの往診で右肺雑音聴取。BT37.7℃。レントゲンやCT上は肺炎の悪化は無く、当初心不全増悪を疑い二度目の入院をしてもらったが、
入院の7日後にBT39.0℃に熱発。その後は解熱。CRP:8.95も、再検しても肺炎像は悪化していなかった。解熱後も夕方になると頻呼吸になっていた。症状の現れる時間帯から、不安症状も合併しているのではと考えクロチアゼパムも開始、入院の2週間後に退院。
退院より1週間後の7月下旬、訪問時左前胸部雑音の悪化、胸部CT再検し、左肺で陰影増強。抗生剤内服処方。
8月下旬の訪問時、BT38.5℃、呻吟強く返答困難。朝から食事が摂れていなかった。夜間にO2を外してしまい、SpO2:75%に低下していた。
救急搬送。CRP:8.45 Neu:89%、三度目の入院となった。
入院時のpO2:107、pCO2:47。CTにて右肺肺炎悪化の診断で、抗生剤点滴を行い、データ上は少し改善傾向に向かっていたかに見えていたが、不穏状態のために2日後に予想指示セレネースを使用していた。
入院から4日後の早朝、呼吸停止状態で発見された。
心マ・アンビュー。モニタ上はVF~torsades de pointes
初回のABGでpCO2測定できずも、p H6.98と 著明低下、 呼吸性アシドーシスが疑われた。
10:02 挿管し人工呼吸器装着
10:33 再検のABGで p C02 91と 著明高値だった。
家族と連絡繋がり、これ以上の積極的な救命措置は行わないこととなる。
結局は9時以降排尿見られず、ドパミン・フロセミド使用も反応なし。
呼吸器使用後pCO2改善後も代謝性アシドーシスが継続。
腎機能は悪化の一途を辿り、翌日、入院から5日後の朝に逝去された。
結局自宅で過ごせたのは本当に短い期間だった。
少しの間でも帰れたとも考えるけれども、もっとうまく苦痛の無いように
マネジメント出来たのではないかとの悔いが残る。
問題点として、
1)結構酸素チューブを外してしまうことが多い方に、
在宅酸素療法を行うことは本当に最善の方法だったのか?
常時付けるのではなく、例えば特別な時のみ・介助者が居る時のみ、
の短時間使用も考えて良かったのでは?
2)不穏症状・頻呼吸の評価はちゃんと出来ていたのか?
都度ABGはチェックし、pCO2の上昇が無い事は確認してはいたが、
安易に鎮静作用のある薬剤に頼るべきでは無かったのではないか?