格差問題の本質-多重下請け構造ーマスコミも政治家も無視している
持続化給付金の不自然な再委託に電通やパソナが絡んでいることが問題視されています。
ぼくは前々から、日本の社会構造の最大の問題は、企業の受発注における多重下請け構造にあると思っているのですが、このことを問題視する視点は、IT業界のブロガーによる記事くらいにしか出てこないんですね。
正規-非正規の問題もありますが、格差問題の本質は、元請け-下請けの身分格差、収入格差にあります。
これは日本の社会全体に見られる構造なので、マスコミも含め、ほとんどすべての人がその構造の渦中にいる、または恩恵らしきものを受けているか、利用しているか…なので、批判する言説が出てきにくい。
(「原発批判するなら電気使うな」論の構造に似ています。)
代替の構造も提示しにくいのですが、アメリカのIT業界は20年ほど前にこれを問題視して、「直取引」を推進する方向に転換している。
多重下請け構造は、末端の技術者への配分が低くなるので、優秀な人材がそこに回らず、実質的にはほぼスキルのない上流の「管理者」にみんながなりがたる。
結果として、業界全体の専門スキルが下がり、競争力が下がる。IT業界は特に、多重下請け構造の弊害を一番被りやすいのです。日本のIT技術力が、わかりやすいまでに低いのは、そういうことです。
格差の問題も深刻です。何もしないTV局員、広告会社社員が、長時間労働で実質的に制作を担っている制作会社社員の年収の5-10倍を得ている…というのは、どう見ても不健全です。
長時間労働なのに収入が低く、しかも雇用が不安定。こんな人が多数派の社会で消費が伸びるわけがない。
しばしば政治家が口にする「構造改革」とは、いったい具体的に何を指すのか。
最近、個人的に首を傾げることが増えています。
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