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藤井三冠、運命の二日目午後他

明日からの竜王タイトル戦を豊島竜王と藤井三冠が戦う場合にまず頭に入れておくことは、二日目の昼食時が一つの区切りになるということです。
それまでに形勢で40%以上、持ち時間で1時間半以上が目途で、それで藤井三冠にとっては十分互角だという認識です。

これまでの両者の二日制タイトル戦の状況から推測すれば、二日目の午後における疲労度と頭脳体力に豊島竜王と藤井三冠との間にそれだけ開きがあるように思えます。これは年齢と先天的なものが関係しているので、今後この開きは拡大することはあれ、詰まる可能性は少ないと。

従って豊島竜王としては何としてもこれまでの経験と序中盤の研究で、時間を使わずに上記以上に形勢が有利になることを目指さざるを得ないものと考えます。

このような状況下で具体的に藤井三冠としてどのような戦略をもって望めばよいのでしょうか。

まず先手番では連勝中の戦法「相掛かり」を変えることなく慣れた研究の範囲内で対局することです。積極的に「ファースト・ストライクを打つ!」姿勢で居玉も気にせず従来通り攻め中心の指し方を継続すべきです。

次に後手番では豊島竜王は研究充分の「角換わり」をメインにもってくると予想されます。そこで気を付けるべきは棋王戦での斎藤戦のように攻めを急いではいけません。相手の術中に陥りかねないからです。
斎藤八段は「角換わり」の先手番でしたが「まずは攻めさせて、戦うつもりでした。」と局後のインタビューで言っておられました。
後手から攻めかかるのはよほど相手に隙があるか、棋力に差が無いと無理攻めになりやすいかと・・・

従ってあくまでカウンター狙いに徹して千日手も辞さない指し方が望ましいでしょう。そして「運命の二日目の午後を待つ」のが賢明です。

さらに豊島竜王が得意とする序盤研究に対応するためには立ち合いから気力を充実させて読みを入れ、間違っても王位戦第1局のようにフワっと指してしまわないことです。

たとえこれまで経験の無い局面に誘導されたとしても二日制ですから、対応する時間は十分あります。心ゆくまで深沈と読みに耽る藤井三冠を見ていたいものです。

現代将棋はますます先鋭化しスパっと切るか切られるかの勝負が増えつつあります。序盤から両者の息詰まる熱戦が繰り広げられることでしょう。

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