藤井二冠、対局相手の心理
藤井二冠の直近対戦の相手となる三名の棋士の心理状態を「拝察」してみました。直接お言葉を賜ったわけではありませんので、くれぐれも誤解無きよう・・・
6/26 叡王戦挑戦者決定戦 斎藤八段
斎藤八段の現在最大の関心事は「自分自身が名人戦であれほど強いと感じさせられた渡辺名人に藤井二冠が昨年同様棋聖戦で二連勝しているのは何故か?かたや今期深浦九段戦や稲葉八段戦で見せた藤井二冠の呆気ないほどの脆さは何だったのか?現在本当に強いなら、どこに自分との違いがあるのか?」であり、是非対局してその強さを体感したいと考えておられるはずです。
斎藤八段、先手なら研究充分の角換わり、後手なら藤井二冠が棋聖戦で連勝している相掛りを想定しているでしょう。藤井二冠先手の場合、その時に得意としている戦法を自ら変えることはほぼ無いからです。
持ち時間の比較的短い将棋なので振り駒の結果によって、先手を握った方が圧倒的に有利に立てるはず・・・もし、斎藤八段が先手でも敗れるようだと「こりゃぁ、本当に強い!」と。
6/29,30 王位タイトル戦第一局 豊島竜王
前回朝日杯で一敗したものの、短い時間の将棋であり最後の自分のミスで失ったことがはっきりしているので豊島竜王の藤井二冠に対する優位は未だ揺るぎないと考えておられるでしょう。
王位戦挑戦者決定インタビューで「終盤で競り合いの展開に持ち込みたい。」と。
つまり藤井二冠に対して「他の棋士は必要以上にその終盤力を意識し過ぎている」と考えておられるようです。中終盤でミスをするから、そこを藤井二冠に鋭く攻め込まれて差を開かれていると。
じっくり終盤まで付いて行ければ、「考えすぎてミスをするのは藤井二冠の方だ!」と見切っておられる。その自信が六勝一敗の戦績につながっていると思われます。
ただ今回は二日制の長時間にわたる対局になります。はたして豊島竜王が終盤まで有利あるいは逆転可能な微差のビハインドの状況を生み出せるのか?また終盤まで時間を残した藤井二冠に隙があるのか?
いずれにしても第一局の結果次第でどちらが勝つにしても大差で決まるシリーズになると予想しています。4-1ないし4-0もあり得ると。
なぜなら豊島竜王と藤井二冠の棋風は同質の将棋ですから、立場が逆転すればしたで逆転しなければしないで星は常に偏る傾向にあるからです。
シリーズ途中での逆転も・・・ま、その時はその時で、少なくとも再逆転はありませんから。
7/03 棋聖タイトル戦 第三局 渡辺名人
一言で渡辺名人の現在の心理を「関西弁」で表現するならば、「難儀な子ぉやなぁ・・・」と。去年の棋聖戦から確かに藤井二冠の情報は飛躍的に増えたものの、その難儀さは少しも変わっておりません。
実は渡辺名人は迷っておられると思います。第三局は先手でもあり研究将棋で行くかどうかを。
昨年の第三局で角換わりの研究将棋で勝利した際にこれは「弱者の作戦」と対局後にはっきり言っておられました。また棋聖戦挑戦決定インタビューで「今回は普通に指します。」と宣言しておられる。
にも関わらず研究将棋を「名人」が選べるのでしょうか?
またたとえ選んでも勝つ保証はありません、まかり間違って敗れでもしようものならほんと、目も当てられません。
そこで藁をもすがる思い?で上記斎藤八段戦と豊島竜王戦を眼を皿にして観戦されるはずです。どこかに藤井二冠の弱点を示唆するものはないかと・・・
渡辺名人にとって良くて昨年同様の一勝三敗、あるいはタイトル戦初の三連敗も充分あり得ると予想しています。