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将棋三国志、藤総に軍師孔明が策を

「渡明」(トメイ)「豊将」(ホウショウ)「藤聡」(トウソウ)「永拓」(エイタク)と群雄が割拠して冠を争う将棋界を天才軍師「孔明」が若き武将、藤総に軍略を教えているところです。

藤総「5月31日に叡王戦で永拓と戦うことをかわきりに怒涛の冠争奪が競われる6月、7月をいかに乗り切るべきか、孔明先生!教えて下さい。」

孔明「実は天下の形勢に大きく影響するのは永拓戦ではないのよ。今日行われている名人戦第四局、渡明vs斎慎(サイシン)戦こそ今後、貴方の活躍を左右する重要な戦いなの。」

藤総「えっ?再来年は僕も名人戦に出るけど、いや、そのつもりだけど、今年の名人戦は関係ないので気楽に中継を観戦してるだけだよ・・・。」

孔明「この第四局か第五局で斎慎が渡明から一勝を挙げられるかどうかは、貴方が渡明と戦う棋聖戦に大きな影響があるのよ。つまり、渡明はこのまま連勝して名人戦を終えることができれば棋聖戦に集中する態勢を築けるわ。でも一敗でもすれば名人戦と棋聖戦を並行して戦うことで、前門に斎慎、後門に藤総と挟み撃ちになるのよ。」

藤総「あっ!成る程ぉ。」

孔明「渡明は昨年、貴方に棋聖を奪われているので特に第一局目を重視しているわよ。だから、渡明にとってより大切な名人戦で、斎慎に喰いつかれたまま棋聖戦に入るのを何としても避けたいと思ってるはず、分かるでしょ?」

藤総「確かに去年、僕も棋聖戦と王位戦が重なってるときはしんどかった。」

孔明「今年も状況は変わらないわよ。いくら棋聖戦で連勝しても日程的に必ず王位戦とかぶるから。」

藤総「それで今何をやれば・・・?」

孔明「私の見るところ、王位戦は豊将が出てくるわ。つまり前に渡明、後ろに豊将と最強コンビで貴方を挟み撃ちにするために。それぐらいの状況じゃないと渡明も豊将も一発勝負じゃなく番勝負では貴方に勝てないと思ってるのよ。」

藤総「そうかぁ~厳しいなぁ。」

孔明「今、余裕のあるうちにこの状況を想定して、一日制の渡明戦、二日制の豊将戦の対策・研究を進めて、一つでも多く切り札を増やしておくことね。たとえ王位戦の挑戦者が豊将じゃなく羽善(ウゼン)に変わっても、豊将対策は次の竜王戦で生きるから無駄にはならないわよ。」

藤総「でも・・・永拓も羽善も強いけどなぁ・・・」

孔明「最も大きな脅威は誰か?ってこと。それを全力で叩きに行くべきよ。戦国の世を勝ち抜くにはこれが一番の秘訣と思ってね。」

藤総「分かった。僕、頑張るから。」



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