京葉線ダイヤ改正2024を語る前に
京葉線新ダイヤの詳細はまだ不明ですが、現時点でわかることを並べても今回のダイヤ改正に反対する必要が無いことがわかります。
なぜ県知事や新聞会社までこぞって騒ぎ立てるのでしょうか?
以下に、JR側のダイヤ改正が妥当である根拠を列挙します。
①京葉線・通勤快速は「 おそい 」
まずはこちらをご覧ください。これは平日朝の、1本目の通勤快速の運転時刻概要を示した図です。
こんどは土休日の、ほぼ同じ時間の列車を見てみましょう。
あれ?
平日も土休日も同じ時間なのに、土休日は7駅も多く停車しています。
にもかかわらず、所要時間はまったく同じ42分です。
すなわち、平日の通勤快速は少なくとも土休日の快速よりも、
かなり遅く走っている ということがわかります。
これだけでも「通勤快速が無くなると速達性が~」という主張は、
「ちょっとおかしいぞ?」と気づくことができるわけです。
朝のもう1本の通勤快速に関しても、ほぼ同じ状況となっています。
7駅も多く通過しているのに、2分しか短縮てできていません。
②かつては確かに早かった「 通勤快速 」
手元に2005年の時刻表があったので、比較してみましょう。
当時は内房線と外房線発の通勤快速が上り各2本、下り各1本の計6本が運行されていました。
なお通勤快速の停車駅は既に現在と同じで、途中新木場・八丁堀に停車。
また、このほかに外房・内房線からの直通電車などがいくつか運転されていました。
当時の通勤快速は、所要時間35分で統一されていたようです。
下りはもう少し早く、33~34分で運転されていました。
一方、朝ラッシュ時間帯に通常の快速も運転されていましたが、蘇我→東京の所要時間は47~50分、各駅停車では60分かかる列車もあったほか、武蔵野線の快速も運転。現在とかなり状況が違ったことがわかります。
なお、日中の快速は42分ほど、各停は53分ほどでした。
現在も日中の快速はそのぐらいですが、各停は快速退避がなければ49分ほどと、少し早くなっているようです。
(2005年当時は103系もまだ走っていました)
③ダイヤ改正で速達効果は失われたのか?
さて、話は戻って2024年の京葉線ダイヤ改正。
1月15日に修正発表がありましたが、結局通勤快速については各停化が覆されませんでした。
蘇我駅7:44発は変わりませんが、東京駅到着が8:26→8:38へ12分も遅くなりました。
特に上総一ノ宮駅は各駅停車への種別変更により、改正前7:00発だったのが6:53発となり更に7分の増。所要時間は19分も増えてしまいました。
これだけ見ると、確かに上総一ノ宮だけが特に損をしているように見えますが、はたしてそうなのでしょうか?
実は外房線に関しては、通勤快速とほぼ同じ時間に特急わかしお4号が設定されるため、代わりの速達列車が用意されているのです。
ご覧の通り、上総一ノ宮発で10分、勝浦発で19分も遅く出発できるようになっているのです。勝浦に至っては所要時間20分の短縮です。
なお改正後のダイヤにおいては、安房鴨川5:50発普通千葉行きが、上総一ノ宮6:53発の各駅停車(元通勤快速)に乗継できると書かれていました。
現在のダイヤだと安房鴨川6:00発の電車があり、勝浦6:33着となっていますから、新ダイヤの5:50発普通千葉行きは確実に新・わかしお4号に乗継できると見て間違いないでしょう。
④本当に怒るべきは、鴨川市とか勝浦市とか
安房鴨川5:50発の普通列車が勝浦6:23着だとすると、現ダイヤの通勤快速の勝浦6:25発のダイヤに載せるものと思われます。この電車は上総一ノ宮で元々13分も停車時間があったので、先に京葉線直通の電車(元・通勤快速)を走らせるダイヤとなっているのかもしれません。現ダイヤだと、総武快速周りの東京行きと接続しています。
現在のダイヤの場合、安房鴨川駅発は5:11、6:00、6:29発です。
発時刻は10分早くなり、しかも東京着は総武快速ホームではなく、京葉線ホームに変わってしまいます。
特急を使えば少し早く着けますが、勝浦で約20分待つので実質的な所要時間は現ダイヤとほぼ同じです。
したがって今回のダイヤ改正、実害を被っている安房鴨川~勝浦の利用者が中心にJR東日本に対してクレームをつけるならまだわかる話だと思います。
(安房鴨川6:20発ぐらいの電車が設定されて、勝浦で特急に乗り継げる設定があるかもしれないが)
しかし、実際に不満を訴えているのは千葉市とか一宮町が中心だと聞いています。
⑤メリットあるのに、怒ってる人達
一宮町は、上総一ノ宮と東浪見駅が該当します。また、1月に一宮町と連名でJR東日本に対し撤回要望書を出したのは、茂原市と大網白里市です。
該当駅は茂原市が、茂原、新茂原、本納。大網白里市は、永田、大網です。
元々の快速停車駅はともかく、新茂原、本納、永田の3駅は今回のダイヤ改正で停車列車本数が増える駅です。
資料によると1日あたり9本の停車列車が増えることになったようです。
実際、1月15日の修正で復活することになった朝の快速電車についても、
「外房線内は 各駅停車 として運転」と書かれていました。
上記3駅は、ちゃっかり恩恵は受け取っていたのです。
(付け加えるとすれば誉田駅での連結=東金線からの直通運転…をやめればその分所要時間は短縮できるのです。大網白里市が納得すれば、ですが)
もっとひどいのが千葉市です。 通勤快速は別として、千葉市内の京葉線の駅で、快速の各停格下げで停車列車が増えるのは幕張豊砂駅だけなのですが、まさにこの駅は千葉県・千葉市がJR東日本に対して建設を要求し2023年に開業したばかりの請願駅なのです。
その千葉県・千葉市に要求されて作った駅の列車を増やすダイヤ改正をしようとして、JR東日本は「地域の理解が必要だ」と怒られてこの騒ぎなわけです。「この駅本当はいらなかったのか?」と聞き返したくなるような話でしょう。
⑥優遇されていることに気づいていない?
まだあります。今度のダイヤ改正では、普通列車グリーン車の料金体系と、千葉県を走る特急料金の見直しも実施されます。
ところが、普通列車グリーン料金よりも房総特急料金の方が安いのです。
…しかも、スタートキャンペーンとして6月30日までチケットレス特急料金が100円引きとなるようです。
また、きっぷで特急券を購入した場合も、普通列車のSuicaグリーン料金と10~30円しか違いません。付け加えるなら普通列車のSuicaグリーンは自由席なのに対し、房総特急は全車指定席です。(座席未指定券も同じ値段)
もちろん、改定前の自由席特急料金に比べれば値上げなのですが、なぜか50km以上100kmまでの料金は改定後の方が安い(950→920)です。
正直、座席の質としては確かに特急も普通列車グリーンも変わらないとは思うのですが、特急料金には速達料金も含まれているわけで…なぜこんな逆転現象が起こっているのでか、理解に苦しむ改定です。
そのほか、成田エクスプレスについても千葉、佐倉駅停車列車が増えるほか、成田空港を含まない利用区間については、ほかの房総特急と同水準の特急料金にすることなりました。1乗車あたり330~610円の値引きです。
そういえば、千葉県では昔から間合い運用で普通列車が特急型車両で運転されることがよくありましたね。次回ダイヤ改正でも一部まだ残るようですが、他の地域ではほとんど聞いたことの無い取り組みですよね。
2021年には5000憶円超の赤字を出したJR東日本ですから、様々値上げや合理化をするのはやむを得ないはずです。
しかし何故千葉だけこんなにも優遇しているのか、不思議に感じてなりません。そしてなぜ千葉の市町村は、そこまで快速存続にこだわるのか。
たとえば、特急化の値上げが不満だとか、特急は5両編成だから10両編成の通勤快速を利用していた人達が全員乗れないだとかならまだわかるのですが、そういった根拠の主張は今のところ見当たらないかと思います。
ひとえにJR東日本の説明不足なのか、はたまた千葉側が聞こえないフリをしているのか。
この問題は千葉側が頑なな態度を取り続ける限り、しばらく燻り続けることとなるでしょう。しかしJR東日本側にこれ以上千葉を優遇する余裕があるようには見えません。
さて、これらをふまえた上で、あたなた京葉線関連のダイヤ改正について、どう思うでしょうか?