テレビ局 V.S. JR東海!!
テレビ局とJR東海どちらが稼いでる?
突然ですが、テレビ局とJR東海ってどちらが稼いでいると思いますか?
ここで言うテレビ局とは、
・日本テレビ(日テレHD)
・テレビ朝日(テレ朝HD)
・TBS(TBSHD)
・テレビ東京(テレビ東京HD)
・フジテレビ(フジメディアHD)
以上東京キー局5社のことです。さあ、いかがでしょうか?
2023年3月期の決算の数字で、いろいろ見比べてみましょう。
📺動画版はこちら🚅
※この記事を動画化しました。是非ご覧ください。
売上高
売上高合計は、流石にテレビ5社の合計の方が大きいです。とはいえ、1社でテレビ局4社分の売上高があるJR東海もなかなかにすごいと言えるのではないでしょうか。
テレビ5社の合計は1兆7733億円、JR東海は1兆4003億円でした。
営業利益
営業利益…ざっくり言えば、本業での利益です。テレビなら広告、JRなら鉄道です。このほか、不動産業などの利益もこの中に含まれています。
なんと、JR東海の方がテレビ5社の 3倍 です!
売上ではテレビの方が上回っていたのにも関わらず、です。
TV5社計が1225億円、JR東海は3745億円でした。
純利益
純利益とは、本業以外の利益・支出や、税金類を加味した最終的な利益です。特に「親会社に帰属する当期純利益」を指します。今はざっくりとそんな感じ程度の認識で大丈夫です。
こちらを見ても、やはりテレビ5社よりもJR東海1社の方が上回っています。また、テレビ5社の中でも純利益の大きい会社と小さい会社があることがよくわかります。
テレビ5社の合計は1394億円、JR東海は2194億円です。
営業利益では約2500億円の差がありましたが、純利益では約800億円までに縮まっています。
株価 (単位:円)
株価はあまり比較指標としては適切ではないのですが、投資する最低金額を求めるためにあえて取り上げています。
グラフでは、2023年3月31日の終値の数値を使っています。
ご覧の通り、JR東海1社の株価でテレビ局5社のほぼ2倍の金額になっています。JR東海に投資するには1単元(100株)購入に約160万円必要でしたが、その金額でテレビ局5社の株を200株ずつ買えた、ということをこのグラフでは示しています。
配当 (単位:円)
配当とは、株主がもらえる分け前のようなものです。日本の場合は年に1〜2回という企業が多いです。
赤字だったり、会社の成長のために資金投入する会社はゼロ配当となることも珍しくありません。毎年少しずつでも、1株あたり配当が増えていくことが理想と言われています。
さて、このグラフではテレビ局5社の方が勝っています。JR東海の1株あたり配当より、テレビ局5社合計の方がほぼ2倍であることがわかります。
しかしちょっと待ってください。1つ前の株価のところで、JR東海の単元株を買う費用でテレビ局5社を2倍買えてしまうことを話しました。
つまり同じ投資金額なら、テレビ局5社に投資したほうが年間でもらえる配当は 約4倍 となることがわかります。これは大きな違いですね。
総資産と純資産
総資産は、その物ズバリ持っている資産の総額です。JR東海はテレビ5社の2倍以上ですが、業種が全く異なりますから総資産だけで見るのはあまり良い比較ではありません。重要なのはもう1つ、純資産と見比べることです。
純資産は、総資産から総負債を引いた残りです。
総負債とは、借金など誰かに返す・支払わないといけない金額の総額ですから、純資産はそういった出ていく心配の必要の無い「純粋な資産」を指します。(自己資本とも言います)
たとえば総資産が1億円でも純資産が100万円しか無ければ、純資産割合はわずか1%。その会社はかなり苦しい経営であると考えられます。
テレビ局それぞれで状況は違いますが、テレビ局5社まとめてで見ると純資産割合(自己資本割合)は72.23%。JR東海は40.01%です。
一見すると、テレビ局の方が純資産割合が高くて有利なように見えます。
しかしグラフをよく見てください。
JR東海の”純”資産は、ほぼテレビ5社の”総”資産に相当する金額まで溜まっています。さすがに5社全部は無理でも、やろうと思えばJR東海はテレビ局1社ぐらいは買い取ってしまうことができる体力のある会社であることがわかります。
くれぐれもテレビ局の皆さんは発言に気を付けてくださいね。
おまけ
ところで、JR東海の純資産が約4兆円であることについて異議申し立てる人もいるのではないかと思います。
「リニアの財政投融資で国から3兆円もらってるだけじゃないか」
この指摘は半分当たっていて、半分間違っていると言えます。
どういうことでしょうか?
リニアの3兆円
JR東海は、リニア中央新幹線を建設しています。
この総工費は約7兆円と言われており、これを早期実現するために国が財政投融資でJR東海に3兆円を「貸し付け」ました。
つまり、JR東海から見ればこの「財政投融資の3兆円」はいずれ返さないといけないお金・借金ですから「負債」です。純資産ではありませんから、先ほどの「総資産」のグラフには含まれていても「純資産」のグラフには含まれていません。
つまりJR東海というのは「財政投融資の3兆円」とは別に「純資産で3兆円(以上)」を保有している企業なのです。そのため、現時点であるならばたとえリニアが建設中止になったとしても十分に返済能力があると言えます。(余談ですが、純資産は通常現金とは限らず不動産などの形になっていることが多いのですが、JR東海に関しては2023年3月末時点で少なくとも2.1兆円の現金があったようです)
そして「純利益」のグラフに戻っていただければわかる通り、JR東海は毎年2000億円の純利益を出している会社です。
単純計算で、3兆円は15年+αもあれば十分返済できると考えられます。
リニア開通効果によっては、もっと早まる可能性すらあるでしょう。
国の支援がなくとも、もともとJR東海は「自己資金で」リニアは建設すると豪語していましたから、それだけの収益があったわけです。
当初予定の2027年開業は難しいとは言われていますが、おそらく誤差と感じる程度で完成まで至ることができることでしょう。
その時を楽しみにしていきたいですね。