ひと夏の人間離れ #毎週ショートショートnote
ピコンピコンピコン
「あと30秒で時間切れです」
ピコンピコンピコン
「あと20秒で時間切れです」
ピコンピコンピコン
「おい、聞いてっかい。10秒切ったぜ」
光の国からの言葉が響いた
そして
胸のカラータイマーは、その点滅を終えてしまった。
この星に来て何度目の夏だろう
一人の人間を死に追いやった後ろめたさから
彼に成り代わって
ほかの星からの侵略者と戦い
この星を守ってきた
にもかかわらず
私の人間離れした活躍を知る人間は居なかった
褒めてもらいたかった訳ではないが・・・
規則に従い
私の活躍場面の全てを
人間たちの記憶から消し去ることを
私は怠らなかった
もうこれ位でイイだろう
私は決めたのだ
この夏でこの星を離れると
この星の住人、人間とはおさらばすると
「ハイ!カットォ~」
こうして、秋の番組改変に伴い
今シリーズの最終回を取り終えた。
「監督、次も地球防衛軍役でお願いします。」
私の言葉に監督は
「ごめん、君はこの夏でサヨナラだ。
どうしてもと言うなら怪獣役だねっ!」
(415文字)
人間から離れ
人間役からも離れ
引退した年寄りは離れへ
たらはかに(田原にか)さんの
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