鈍亀

ランニングがメインの趣味ですが、定年退職となり、小説を書くことを始めようと「てのひら小…

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ランニングがメインの趣味ですが、定年退職となり、小説を書くことを始めようと「てのひら小説講座」に参加。500文字制限のショートショートが意外に好評で、こちらで作品発表をしてみることにしました。はたしてどんな評価となるのか楽しみ。最終目標は、坊ちゃん文学賞への応募です。

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  • IYO夢みらい館てのひら小説講座専用マガジン

    • 152本

    2020年からIYO夢みらい館で開催している「てのひら小説講座」受講生作品のマガジンです。

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【33.33㎝の呪い】表お題(沈む寺) #毎週ショートショートnote

プラモデルメーカーで囁かれている 「33.33㎝の呪い」とは・・・   あるプラモデルメーカーが、東京タワーのプラモデルを売り出した時の出来事だ。 1/1000サイズで売り出された東京タワーは、1000個目を記念して純金の東京タワーが作られた。   制作にあたった金細工職人は、伝統を厳しく重んじる職人で、塔(決してタワーとは言わない)の高さを11寸とし、尺貫法の単位で制作した。 1寸は3.03㎝であるから、33.33㎝で完成。   展示するにあたり、防犯用のケースも作られたの

    • 【この中にお殿様はいらっしゃいますか?】副題:お殿様カード #毎週ショートショートnote

      第15代将軍・徳川慶喜は、 不安定になりつつある幕府の影響力を保つために、 「殿様事前登録制度」 なる物を各藩に布告した。 そもそも殿さまの顔を知っているのは、 家老職と城勤めの一部の武士までであった。 そっくりでもない 「影武者」 が通用していたのも、このためである。   いざ戦になっても、 足軽などには敵の大将の顔など分かるはずもなかった。 このため、 多くの敵のそれらしい首が集められ 「この中にお殿様はいらっしゃいますか?」 などと言うこととなるのだ。   登録には嘉

      • 【この中にお殿様はいらっしゃいますか?】#毎週ショートショートnote

        ハイ! 以下の表の中に「殿」はいらっしゃいます。 「殿」と似ている漢字を調べてみました。 「殿」と重なり度9が6個 「殿」と重なり度8が28個 「殿」と重なり度7が66個 全部でちょうど100個 これらの漢字をシャッフル。 最後に一番画数の少ない「阪」(七画)と「殿」を入れ替えました。 さて、どこにいらっしゃるでしょうか? とは言うものの、これではショートショートとは言えないとのお叱りを受けそうなので、少しでもショートショート(星新一風)にすべく、裏お題「お姫様ラッコ

        • 【それでも地球は曲がっている】Ⅱ  #ショートショートnote

          教室と言えば誰しもが四角い部屋を想像するのだけれど、この教室は周りを暗幕で囲われて、丸くなっている。 そして、真ん中には眩しいほどの笑顔の先生が座っていた。   「先生。地球のやつ、またペット飼ってま~す。」 突然、大きな帽子を被った土星くんが、先生に告げ口をした。   太陽先生は困った顔をしながら、 「地球くん、前にも言ったよねぇ。教室ではペットを飼っちゃいけないって。以前にも『規則を守らない奴はお仕置きだ』と、小惑星帯くんに石を投げつけられて、『生き物が殆ど死んじゃった~

        【33.33㎝の呪い】表お題(沈む寺) #毎週ショートショートnote

        • 【この中にお殿様はいらっしゃいますか?】副題:お殿様カード #毎週ショートショートnote

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        • 【それでも地球は曲がっている】Ⅱ  #ショートショートnote

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          【桃太郎Ⅱ:準備は整った】 #シロクマ文芸部

          2年半前に書いた【桃太郎序曲】の続きがやっと完成  木の実と葉っぱや小さな枯れ枝が、石段に重なるように落ちている。 昨日の強い風に吹かれたのだろう。 枯れ枝を踏み折った音に驚き、鳴きながらヒヨドリらしき鳥が飛び立った。   階段を登りきると、広い更地が現れる。 二十年前までは立派な社殿があったが、きれいに取り払われており、柱があったと思われる場所には十二個の礎石が残っている。   私がこの場所に送られたのは偶然ではない。 着時の際、この社殿を破壊してしまったことは予定外であ

          【桃太郎Ⅱ:準備は整った】 #シロクマ文芸部

          【それでも地球は曲がっている】 #毎週ショートショートnote

          大谷投手、念願のワールドシリーズ制覇です。 第七戦までもつれたドジャーズ対ヤンキースですが、最後は大谷が投手としてマウンドに立ち、ジャッジを三振に切って取りました。 アジア人初のメジャーリーガーである村上雅則さんに、大谷投手が投げた最後の球種について伺ってみましょう。   「最後の球は打者の目にはストレートに見えるはずですが、実際にはねじれる様に曲がっていますねぇ。ボールを地球に例えると、人差し指と中指を北極からアメリカ大陸に沿って置き、親指で南極を押さえて薬指と小指を少し曲

          【それでも地球は曲がっている】 #毎週ショートショートnote

          【人生は洗濯の連続】  #毎週ショートショートnote

          むかしむかし、ある村の霊媒師が言いました。 「川を流れ来る桃が見えるぞよ。」 それを聞いた村の婆さま達は、急いで川に走りました。   少しでも上流へ 少しでも本流が近い場所へ 川には場所取り用の洗濯板が並びます。   隣村の婆さまが洗濯中に拾い上げた桃から生まれた元気な子供が、あっという間に大きくなり、鬼ヶ島から金銀財宝を持ち帰ったという噂のせいです。   中には、身長の倍もありそうな長い洗濯板を持ち込む婆さまも現れました。   日が昇ると、あちこちでゴシゴシと洗濯が始まりま

          【人生は洗濯の連続】  #毎週ショートショートnote

          【夜からの手紙】3  #毎週ショートショートnote

          太陽には気になることがありました。 「地球の夜さんを見てみたいなぁ。」 太陽は以前お月様から 「夜さんは、所々が輝いていて奇麗だよ。」 と聞いていたのです。 太陽は、我慢が出来なくなって夜さんに手紙を書きました。 「夜さん、一度そちらにお邪魔してもイイですか?」 すぐに返事が届きました。 「どうぞどうぞ、いつでもどうぞ。」 太陽は喜んで夜へ向かいました。 しかし、どこまで行っても夜さんに会えません。 そこでもう一度手紙を書きました。 「夜さん、いったい君はどこにいる

          【夜からの手紙】3  #毎週ショートショートnote

          【noteへの手紙】   #毎週ショートショートnote

          「代表!遂に夜からの手紙が届きました。」 note社プレスの山下は笑顔で加藤CEOに報告した。   「そうですか、やっと届きましたか。それにしてもメールではなく手紙とは。まあイイ、元々形のない夜だから、敢えて形の有る手紙にしたのでしょう。」   「これで我が社も世界の半分に認知されたと言うことですね。」   「それにしても今まで頻繁にアプローチをしていたのに、今急に手紙が送られてきたのはなぜなんだろうね?」   「実は今、たらはかにさんが企画しているゆる募のお題が【夜からの

          【noteへの手紙】   #毎週ショートショートnote

          夜からの手紙   #毎週ショートショートnote

          ある日、 神様の下に「夜」からの手紙が届きました。 「闇の世界に生きるのに疲れました。」   静かな眠りの為に「夜」を作った神様は同情し 「では、少しだけ明るくしてあげよう。」 と言いました。   次の日 暗くなり始めた東の空に 真ん丸な「お月様」が上ってきました。   暫くして 神様に「お月様」からの手紙が届きました。 「いつも同じ顔でいるのに疲れました。」   そこで神様は、 「では、30日ごとに右や左を向くようにしてあげよう。」 三日月になった「お月様」は嬉しそうです。

          夜からの手紙   #毎週ショートショートnote

          【光の老人:バンドを組む残像】#毎週ショートショートnote

          「私も年老いたものだ」 光の巨人は、腰を摩りながら呟いた。   長年の戦いで、怪獣達を持ち上げていた腰は悲鳴を上げていた。   人類も、手をこまねいていた訳ではない。 巨大腰椎補強具の制作を進めていたのだ。   「工場長!制作には実測が必要です。」 「大丈夫だ、光の巨人にはその旨を伝えている。場所は、種子島宇宙センターだ。」 「なるほど、ロケット発射台を使うのですね。」     某月某日、格納庫から作業員を乗せた発射台が現れた。 固定効果を上げるため、光の巨人の腰に直接腰椎バ

          【光の老人:バンドを組む残像】#毎週ショートショートnote

          【風の色・お好み焼】#シロクマ文芸部

          風の色 それは全部が 茶色だよ シロクマ文芸部に参加しています お遊び企画ということなので 575で遊んでみました ただ、画像が無いとさっぱり?ですけどネ! 松山風が分からない方はコチラ コスパ最高のランチです

          【風の色・お好み焼】#シロクマ文芸部

          風の色   #シロクマ文芸部

          風の色? ↓     ↓ そんな色は無い  全ての色が有る 透明な水のように  七色の虹のように ↓     ↓  春も無色透明  春は芽吹く若草色 夏も無色透明  夏はまぶしい空色  秋も無色透明  秋は帰り道の黄昏色  冬も無色透明  冬は痛いほどの純白 ↓ しかし それは 人それぞれ ↓ 無色透明は すべての光が集まった色だから ↓  嬉しいとき 楽しいとき 悲しいとき 苦しいとき  ↓ その時々の色の風が吹いているはず そう 風の色は 心の色かもしれない 2年余り前

          風の色   #シロクマ文芸部

          月の色は   #シロクマ文芸部

          月の色は十二色 紅色の睦月から始まり 濃紺の師走で終わる 特に 季節の植物たちを表す色が沢山   睦月は紅色 如月は水色 弥生は桃色 卯月は若草色 皐月は新緑色 水無月は藤色 文月は空色 葉月は向日葵色 長月は銀杏色 神無月は栗色 霜月は桑の実色 師走は濃紺   季節感満載の日本の季節色   しかし 近年の温暖化は 日本の季節感の脅威となりつつあり 春や秋の期間が短くなってきている   最近は 「酷暑日」 「熱帯夜」 「線状降水帯」 「ゲリラ豪雨」 と暑さと大雨のニュースが

          月の色は   #シロクマ文芸部

          レモンから #シロクマ文芸部

          レモンから揚げ? そんな名前に惹かれて注文した 本来ならレモンは、から揚げに添えられる物のはずだ 脂っこさを和らげるトップバッター そんなレモンその物を揚げるなんて   空腹だったこともあってか 口の中によだれが充満してくる   しばらくして 厚めにスライスされたレモンが パン粉の衣に包まれて登場   思わずよだれが溢れ落ち 可愛い店員さんに見られた気がしたところで 目が覚めた   濡れたシーツが頬にくっつく 久しぶりの皮膚感     五十も過ぎたころから 体内水分が減少気

          レモンから #シロクマ文芸部

          詩:流れ星 #シロクマ文芸部参加作品

          流れ星のように フロントガラスを雨粒が流れてゆく 交差点に近づき 僕は ブレーキペダルをゆっくり踏んだ   あの角を折れて少し行けば 君と過ごした思い出の場所 きしむ音のする階段を上れば 奥から2番目の扉 今はもう知らない誰かの 生活が始まっているはず ウィンカーに触れた指を外し 強くハンドルを握りしめた   前を向いたまま通り過ぎるけど 心はいつも振り返っていた 君と二人で夢を見ていた 君と二人で 君と二人で   雨に濡れながら歩くのが 好きだと言う君に合わせて 誰もいない

          詩:流れ星 #シロクマ文芸部参加作品