心変わり #ショートショート
私は‥‥
私だけが、貴方に触れることの出来るものだと思っていたの。
貴方の腕を優しく包むように、触れていることが好きだったの。
そのまま私は、あなたの腕の温もりを感じていたかったのに‥‥
アナタの部屋には、私が休める場所も決めてくれていたし、アナタの腕から放たれる時、優しくその場所に抱き下ろしてくれたのに‥‥
私に出来ることは、貴方に、時の移ろいを教えてあげることだけ。
確かに、最近の若い子のように、色々なお知らせを伝えることは出来ないかもしれない。
でも、私は、少しの光を当ててくれるだけで頑張っていたのに。
ソレなのに、あんな女に心変わりをしてしまうなんて。
私は、あのアップルウォッチが憎い。
太陽電池式電波腕時計は、引き出しの奥に仕舞われ、深い眠りについた。
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