雨は似合わない #ショートショート
「冬だから雨は似合わない 冬だから君を思い出す♬」
20世紀後半のフォークグループNSP(New Sadistic Pink)天野滋さんの作品、「雨は似合わない」のさびの部分だ。
21世紀前半には、大雪の影響で東京が大混乱となったこともあったようだが、21世紀終盤には、北海道の山間部で降雪が観測されたものの、22世紀になった今、日本国内で雪を見ることは無くなってしまった。
地球温暖化の進行は、人類の科学技術だけではどうしようもない事だったのだ。
出生率の低下と新しい感染症の蔓延で、人口減少に拍車がかかり、工業生産事業の衰退とともに二酸化炭素の発生が減少したにも関わらず、地球温暖化は止まらなかった。
自分たちの活動が、地球温暖化に影響していると思っていたのは、人類の「エゴ」であったのだ。
春が来て気温が上がると、人類は地下に潜り、太陽を見ない生活が始まる。
気温の上昇で、世界では陸地の砂漠化が進んでいた。
日本列島の状況はと言うと、日本海から湿った空気を運ぶ風のおかげで、何とか山の緑が保たれているが、冬季の豪雨による山塊の崩壊が進んでいる。人口の減少で、人的被害が少なかったのは不幸中の幸いであった。
「冬だから雨は似合わない」
「冬だから寒いのはしょうがない」
この不自然な歌詞を理解するにはもう、地球の歴史を学ぶしか無いようだ。
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てのひら小説講座の宿題(テイクアウト講座)
お題「冬」のショートショート作品(その2)です。
NSPを知らない方のために
NSP『雨は似合わない』 1974年 - YouTube
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