ツノがある東館 #毎週ショートショートnote (一行目で惹きつける)
ラブホテルは永遠に
ある所に
予約が取りづらいほど人気の
カプセル型ラブホテルがあった
左右対称の造りで
西館と東館とに分かれている
これと言って特徴は無いのだが
強いて言えば
ベッドが渦巻き状になっていることぐらいだろう
西館は左巻き
東館は右巻き
西館は空室が目立っているが
東館はいつも満室だ
特に梅雨時期になると
東館の入り口には行列が出来るほどで
その長く続く足跡が
雲間から漏れた光に照らされ
輝いている
そんな東館は
ツノがある東館と呼ばれていた
利用者は右巻きのベッドに体を滑り込ませると
安心したかのように2本のツノを伸ばすからだ
人類が滅亡した後の地球
多くの種が繁栄と滅亡を繰り返す中
有害な紫外線を遮断する硬い外殻を持った
マイマイ族が急速に繁栄していた
そんな彼らの多くは右巻きの殻を持っている
左巻きは少数派だ
でも
カプセル型なんて一人しか入れないのに
ラブホテルって大丈夫?
安心してください
彼らは雌雄同体デスよ!
(おしまい)
たらはかに(田原にか)さんの「毎週ショートショートnote」に参加しています。
今週は【ツノがある東館】のお題で【一行目で惹きつける】ショートショート
ツノからは鬼を想像しがちですが、なんとか鬼以外にしたくて悩んでいた時、「でんでんむしむしカタツムリ~♪・・・ツノだせヤリだせアタマだせ~♬」が浮かびました。
そんなカタツムリの殆どが右巻きだそうです。
右巻きの親からは右巻きが生まれ
左巻きの親からは左巻きが生まれます
また、カタツムリは雌雄同体で自分の精子と自分の卵で受精しますが、別々の個体の精子と卵でも受精します。この場合、同じ向きの巻きの場合だけで、右巻きと左巻きでは生殖器の位置の関係で交尾が出来ないようです。
最後に「パ~ンツ!」と叫びたくなったのは私だけ?