【この中にお殿様はいらっしゃいますか？】副題：お殿様カード　＃毎週ショートショートnote

第15代将軍・徳川慶喜は、
不安定になりつつある幕府の影響力を保つために、
「殿様事前登録制度」
なる物を各藩に布告した。

そもそも殿さまの顔を知っているのは、
家老職と城勤めの一部の武士までであった。
そっくりでもない
「影武者」
が通用していたのも、このためである。
 
いざ戦いくさになっても、
足軽などには敵の大将の顔など分かるはずもなかった。
このため、
多くの敵のそれらしい首が集められ
「この中にお殿様はいらっしゃいますか？」
などと言うこととなるのだ。
 
登録には嘉永元年に伝わった写真技術が導入され、
顔写真のには藩の家紋と甲乙丙丁の十干じっかんと
壱弐参の数文字を用いて登録番号を振り、
管理することとなった。
当然、各大名からの反発は大きかった。
 
しかし、
慶応3年に大政奉還により政権が天皇に返上されたことで、
この制度は頓挫した。
 
現在のマイナンバー制度が日本国内でなかなか受け入れられないのは、
この殿様事前登録制度の呪いだとも言われている。

ー了ー

（408文字）

表お題で思いつくのは、機内でのドクターコール。
しかし、乗客に不安感を与えないように、2016年からJALとANAでは、「医師事前登録制度」を始めています。
これは、機内での急病人に迅速な対応を目的としていますが、事前登録が必要な制度です。
私が医療機関に勤務していた時に開始されましたが、いろいろな問題があり、当時はあまり普及していませんでした。その後の普及状況は？です。
そんな制度を思い出し、こんなのを書いてみました。
 
たらはかに（田原にか）さんの＃毎週ショートショートnoteに参加中です