【光の老人:バンドを組む残像】#毎週ショートショートnote
「私も年老いたものだ」
光の巨人は、腰を摩りながら呟いた。
長年の戦いで、怪獣達を持ち上げていた腰は悲鳴を上げていた。
人類も、手をこまねいていた訳ではない。
巨大腰椎補強具の制作を進めていたのだ。
「工場長!制作には実測が必要です。」
「大丈夫だ、光の巨人にはその旨を伝えている。場所は、種子島宇宙センターだ。」
「なるほど、ロケット発射台を使うのですね。」
某月某日、格納庫から作業員を乗せた発射台が現れた。
固定効果を上げるため、光の巨人の腰に直接腰椎バンドを組み合わせて巻き上げるためだ。
予定時刻になると光の巨人が現れ、すぐに作業が開始された。
制限時間3分の作業も、事前準備のおかげでギリギリ完了することができた。
「バンザ~イ」
歓声が上がると、光の巨人は残像を残して飛び去った。
と思ったら、光の巨人が戻ってきて困惑の言葉を発した。
「これ、脱着出来ますか?」
やはり背中のジッパーは、ウルトラスーツを脱ぐ為めだっだ。
(412文字)
すみません、
「バンド」を「音楽バンド」にしたくないと思うひねくれ者です。
最初は3分ではミッション失敗で、残像を残して飛び去る設定でしたが、べたすぎると思って修正しました。
ウルトラスーツが脱げないとトイレに行けないのも、読み手の想像の域と思い書き足さず。
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