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季節の狭間で

朝晩が涼しくなったというよりは、もう肌寒くなってきた。数週間前のあの終わりのない猛暑が、まるで遠い昔の出来事のように感じられる。風が窓からひゅっと吹き込むと、思わず肩をすくめてしまう。季節の変わり目というのは、いつも僕を少し困惑させる。夏の余韻に浸る間もなく、秋が無言でやってきて、そして何も言わずにじわじわと肌に冷たさを伝えていく。

ついこの前まで、エアコンのリモコンを握りしめて、どこかで冷たい風を探していたのに、今は逆に何か暖かいものが恋しい。コーヒーの香りがいつもより強く感じられ、フリースのジャケットに腕を通す。体温を維持することが、こんなにも意識的な行為になるとは思わなかった。季節はそうやって、僕の生活のリズムを少しずつ変えていくのだ。

外を歩けば、木々の葉がほんのりと色づき始めている。赤や黄色が、まるで何かに急かされるように、その緑の表面ににじみ出している。でも、まだ完璧な秋には至っていない。どこか夏の残り香が、あちこちに漂っている。それが妙に落ち着かない。心のどこかがまだ夏にしがみつこうとしているのだろうか。あの暑い日差し、汗で湿ったシャツ、セミの声。あれが全部、ほんの一瞬で過ぎ去ってしまうなんて、どうも信じがたい。

だけど、この寒さもまた悪くない。夜の静けさが心地よくなり、暗くなるのが早くなることで、家にこもる時間が増えた。部屋の中は穏やかで、外の冷たい風の音を聞きながら、僕は自分の世界に戻っていく。時間が少しゆっくりと流れているように感じられる瞬間が、ここにはある。

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