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空飛ぶ汽車とサラの夢 第2話

第1話はこちら

「ね〜、ハカセ。なんか面白い遊びしたいな〜」

村で小学校に通う子どもは、全部で7人。
物知りなケイは、子どもたちから「ハカセ」と呼ばれていました。

「ん〜、じゃぁ今日は、みんなで森に秘密基地を作ってみようか!」

7人みんなで森に行きます。もちろんサラも一緒です。

「お、この木がいいね。ここにトビラを作ろうか」

ケイが指差したのは、根元に大きな空洞がある、大きなケヤキの木。
子どもが4人は一緒に入れそうな大きさです。

「でもハカセ、僕たちトビラの作り方なんて知らないよ〜」
「大丈夫。太めの枝を集めてごらん。紐で上手に結ぶやり方を教えてあげるよ」
子どもたちはみんな、お兄ちゃんに教えてもらって、トビラを手分けして作っていきます。

「あれ? サラちゃん、何してるの?」
サラと同い年の女の子、ユミちゃんが、サラに声をかけました。

「今ね、お兄ちゃんの言うようにやってみてるんだけど......」
「も〜、サラちゃん、真面目にやりなよ〜」

サラは、うつむきました。
その手には、うまく結わえずバッテン型になった小枝が握られています。
(真面目にやってるけど、うまくいかないだけなんだもん)

見かけたケイが、声をかけます。
「サラ、僕たちの基地には、そういうかっこいい目印が欲しいと思ってたんだ」
ケイは、サラの手からバッテン型の小枝を受け取ると、扉の真ん中にゆわえつけました。
ケイはサラを見て、にっと笑いました。サラも、嬉しくなって微笑み返しました。

「どうだ? 僕らの基地の完成だ!」
「なんだか隙間だらけだね 」
「でも、とっても基地っぽい!今度、おれのおもちゃのラジコン持ってくる!」
みんな、晴れやかな顔をして、手作りの秘密基地を眺めました。

森から村へと帰る道で、ある子がケイにききました。
「ねぇハカセ。ハカセももうすぐ中学校でしょ?将来はなにになるの?お医者さん?先生?ハカセは頭がいいから何にだってなれるって、うちのお母さんが言ってたよ」
「ん?そうだな~。村のお医者さんや先生もいいけれど、僕には夢があるんだ」
「夢ってどんな?」
「ね〜、教えてよ〜」
子どもたちが、口々にたずねます。
 
  
次回へつづく

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原作・ 絵 Ayane Iijima 
原案  Mariko Okano




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