どんぐりほめ子
《第11話こちら》 《第12話こちら》 ソウは、ケイに向かって微笑みました。 そしてまた、視線をサラに戻して言いました。 「本当はね、とっても簡単なことだと思うんだ。僕らみんなが、 ”声” に耳をすませたらいいだけのこと」 ソウの瞳には、サラに向かって光を伸ばしているようで、それでいて、どこまでも深く潜りこんでいけるような、そんな不思議な力がありました。 「 ” 声 ” はいつも、どうしたらいいか知っている。そうだろう?」 「私......」 私には分からないです、と
《第10話こちら》 《第11話こちら》 「......これが......空!?」 「そう......これが、空」 「......青すぎて、なんにも見えないよ 」 サラがそういうと、みんな笑いました。 「あはは、ホントだ。空って青すぎて、あるんだかなんだかわからないよなぁ 」 「さぁサラ、まだまだ驚くことがあるぞ!」 機関車がゆっくりと向きを変えると、窓に強烈な光が差し込みました。 「きゃ!!」 生まれてはじめての「まぶしい」という感覚に、サラは顔を背けました。 し
《第9話こちら》 《第10話こちら》 ーーお兄ちゃん......どこ? サラは、駅のホームに駆けだしていきました。 すると、 向こうのほうから、うっすらと汽車のシュシュシュシュシュという音が聞こえてきます。小さな黒い塊が、どんどん大きくなってきました。あの日見た機関車です。 駅のホームに汽車が到着するやいなや、客車のドアが開いて、ケイが姿を現しました。 「サラ!よくきたね。待っていたよ 」 ドアから飛び降りて、ケイは落ち着いた声でいいました。 サラは、ケイに飛びつきまし
《第8話こちら》 《第9話こちら》 次の日の朝、サラは一人きりで森にいました。花を見ても、鳥のさえずりを聞いても、サラの心は晴れません。 なにをみても、 ”お兄ちゃん” と見た時のことを思い出して、心がヒリヒリするだけです。 サラは歩きながら、森と一緒に深呼吸をしていました。 「......怖かった 」 サラの口からポツリと言葉がこぼれます。 「......行きたかった 」 ゆっくりと、時間をあけて、また一つ声があふれました。 サラは、立ち止まりました。 目を閉じ
《第7話こちら》 《第8話こちら》 「いいかい、サラ。迷ってるなら、ここに残るんだ。正直、僕にだって不安はあるよ。いつまでかかる旅なのかも分からない 」 「でも、僕は行く。これは僕の夢だから。......サラ、君は君の道を選ぶんだ 」 そう言ったケイは、覚悟を決めた人の顔をしていました。 サラは、とてもとても悲しくなりました。 「連れて行って」って言いたいのに、「行かないで」って言いたいのに。 どちらも言えずに涙だけがこぼれます。両目をぎゅっと閉じてこらえようとしても
《第6話こちら》 《第7話こちら》 サラはリュックを放り投げると、ご飯を食べているお父さんとお母さんの横を足早に通り抜けて、再び外に出ていきました。 森に向かう途中で、お兄ちゃんに追いつきました。 「なんだ、サラ、早かったね」 お兄ちゃんは、相変わらずとってもワクワクした調子で、大きなリュックを一つ背負っていました。 「お兄ちゃん、あのね......」 「ん?どした? サラ、荷物は?」 「あのね......」 「ん?どした。もうちょっとハッキリ話してくれないか?」 「え
《第5話こちら》 《第6話こちら》 ソウは、ケイをまっすぐ見つめて言いました。 「そうか、君の国は ” 晴れ ” を知らないんだね。誰にも信じてもらえなくて、辛かっただろう。君はもうすぐ真実を見る。安心していい。そして、僕たちここにいる仲間はみんな、これからずっと君の味方だよ」 「サラだけは......ここにいるサラだけは、信じてくれたから」 ケイはそう言って、まだ緊張してケイの手をぎゅっと握っているサラに、視線を向けました。 「サラちゃんか、よろしくね」 ソウは言
《第4話こちら》 《第5話こちら》 それからというもの、二人の朝の森の散歩は、サラのでたらめな鼻歌のあとには、 ” かごめかごめ ” を 歌うのが日課になりました。 「ほんとに来るのかな?」「どんな風に来るのかな?」二人であれこれ想像するのもまた日課になって、1ヶ月が経った頃のある朝。 「お兄ちゃん......!! 」 先にスキップしながら木々の間をすり抜けていたサラが、ピタッと動きを止めて、ケイの方を振り返りました。ケイは急いでサラのところまで走っていきます。ケイも
《第3話こちら》 《第4話こちら》 「サラ、ありがとう。元気が出たよ 」 ケイが、空になったお皿を置いて言いました。 「僕はね、本気で光る玉を探しに行くよ。そしてサラ、君に一緒に来て欲しい 」 「ね、昨日の夜、家で光る玉の話をしたらさ、僕の家族はみんな ” またケイの夢物語が始まった ” って笑ったんだけど、あとでおばあちゃんがこっそり教えてくれたんだ。本気で願う人のところにだけ、空からやってくる汽車があるって。そのおまじないを教えてくれたんだ。僕はこれから毎日願う
《第1話こちら》 《 第2話こちら》 《第3話こちら》 次の日、サラは森への散歩に行きませんでした。かわりに向かったのは、家の裏手のニワトリ小屋です。 「ね、今日はサラに卵を分けてちょうだい」 サラは、卵を集めているお母さんに向かってお願いしました。 「お兄ちゃんに、オムレツ作ってあげたいの」 「あらあら、サラ、オムレツなんて作れたかしら?」 「大丈夫だよ!学校でちゃんと習ったもん!」 必死な顔でお願いするサラを見て、お母さんはふっと肩の力を抜いて言いました。 「分かっ
《第1話こちら》 《 第2話こちら》 森から村へと帰る道で、ある子がケイにききました。 「ねぇハカセ。ハカセももうすぐ中学校でしょ?将来はなにになるの?お医者さん?先生?ハカセは頭がいいから何にだってなれるって、うちのお母さんが言ってたよ」 「ん?そうだな〜。村のお医者さんや先生もいいけれど、僕には夢があるんだ」 「夢ってどんな?」 「ね〜、教えてよ〜」 子どもたちが口々にたずねます。 「......うん、僕の夢はね、もっときれいな空を見つけることなんだ。僕たちの見ている
《第1話はこちら》 「ね〜、ハカセ。なんか面白い遊びしたいな〜」 村で小学校に通う子どもは、全部で7人。 物知りなケイは、子どもたちから「ハカセ」と呼ばれていました。 「ん〜、じゃぁ今日は、みんなで森に秘密基地を作ってみようか!」 7人みんなで森に行きます。もちろんサラも一緒です。 「お、この木がいいね。ここにトビラを作ろうか」 ケイが指差したのは、根元に大きな空洞がある、大きなケヤキの木。 子どもが4人は一緒に入れそうな大きさです。 「でもハカセ、僕たちトビラ
「小鳥さん、おはよう。木も草も、みーんなおはよう!」 そこは、自然がいっぱいの、空気のきれいな森の中。 「サラ、おはよう」 「お兄ちゃん!おはよ〜う」 「サラは本当に、朝の散歩が好きなんだね」 「うん、だって、スーって息を吸いこむと、木や草とお話ししているような気分になれるんだもん」 ふもとの村に住むサラが朝の散歩をしていると、いつもこうして同じく朝の散歩をしている「お兄ちゃん」と一緒になりました。 「お兄ちゃん」は、村の子どもたちみんなに慕われ、大人たちからも一目置か
※ゴキブリと過ごした日々の中で、気づいたことをここにシェアしています。 数ヶ月前のこと。 出かけ先から帰ってきて、 電気を点けず、薄暗い中で流し台を片付けようとした。 あっゴミだ。捨てよ。と手を伸ばし持ち上げた。 ゴミの上に、黒い物体が…。 本能的感覚では、ウワッ‼︎ としたのを覚えている。 が、薄暗い中での黒い物体は、見た目では判別がつかない…。 何かしらの違和感を感じながら、伸ばした手をこちら側に引き寄せる… 途中で、気づいた…。 こ、これは…… ス
単刀直入なタイトルにする事で、 興味のある人だけが覗きに来てくれるだろうから、 安心して、ここに記したいと思う。 ゴキブリとの生活において、 「私」という人間について気付けた事があったので、書く事にした。 なぜ、わざわざsnsに投稿したいのかというと…、 それらの出来事を友人達に話すと、 やめて〜!と、 嫌がられるからだ。 でも、我慢せずにはいられるず… 誰かに伝えたい気持ちが収まらなかったからだ。
どしゃ降り☔️だったけど、雨が止んだ♪ 止まない雨はない😊✨ 分かっていても、晴れくれると安心♪ 良かったぁ〜♪