おじいちゃんだらけの町工場
僕が実家の工場で働くようになってから思うこと。
おじいちゃん多いなっ!!!
どこの鉄工所に行っても必ずいる。
そして僕はそんなおじいちゃん達と相見えるたび
「パワーあるなぁ。」と圧倒されるのである。
団塊の世代の底力。1学年600人いる中で生き残りをかけて自己PRしてきた人たちの個性は伊達じゃない。
これは僕が出会ったおじいちゃんたちの話。
おじいちゃんT
おじいちゃんTは僕が仕事をお願いしている機械加工屋の社長。
Tは納期を守らない。
だから僕はこのTとは結構バチバチだ。
納期を守らな過ぎるので、一時期毎日通ってた。
「邪魔や!帰れ!」
と言われて
「やってくれるまで帰りません。」
と伝えると
「努力は認めたる!」
と言われ、いやこんな努力さすなよ!?と思いながらも通い続けたら
「これやるから帰ってくれ!」
とお菓子渡されたことある。
(Twitter見返してたらめちゃくちゃキレてた。)
そんなこともあるけれど人情味があって頼りになる。
知識量と経験の量が凄まじく、何を相談してもなんらかの回答をくれる。
何冊ものノートに今までの仕事の内容を書き綴っている。
「勝ったもんが勝者や!」と名言を残したT。最近前歯をなくしている。
おじいちゃんK
おじいちゃんKは弊社の技術力を底上げしたレジェンドだ。
Kは食いしん坊だ。持ちギャグが「腹ヘリコプター」なくらい食いしん坊だ。
12時になると
「メシにするでー!」
と声をかけてくれる。たまに間違えて10時半に
「メシにするでー!」
と声をかけてくれる。
昔会社で行った飲み会で鶏の刺身を食べてみんな食あたりになったのに、Kだけはビクともしていなかったら。強靭な胃袋である。
おじいちゃんって胃袋強い人多いよね。
このKがいなければ、弊社の今の技術力は無かったし、会社の雰囲気も今のようにアットホームな雰囲気にはならなかっただろう。
もう引退してしまったが83歳まで現場でバリバリやってたのは驚異的だ。
この前も一緒に焼肉を食べた。いくつになっても焼肉を美味しく食べられる。そんな歳のとりかたが僕の理想だ。
おじいちゃんS
おじいちゃんSは製缶溶接、曲げ加工屋さんのレジェンドだ。
コラボしていくつか仕事をしていたし、仕事だけでなく人間関係のことや社長業のことを相談したりしていた。
過去の出来事を先週の出来事のように話すところがある。
S「こんなことがあってなぁ、これが大変やったんや。」
僕「それは、大変でしたねぇ」
S「満州でなぁ…」
満州!?
まもなく引退してしまうので今工場を片付けている。広くなっていく工場を見ると寂しい。
今のうちに色々教えてもらっている。
ものづくりの未来はどうなる
個性派揃いのおじいちゃん達。まだまだいるがみんなものづくり最盛期を支えたレジェンド達だ。
彼らが持つ高い技術力に驚愕している。
なんというか、教科書に載ってないことを普通にやってるのがすごい。
「困った困った。」と言いながら相談にいったらたいてい解決してくれる。
Q.こんな歪み取れますか?
A.プレス、ガコン!「ほらよ」
Q.こんな加工できますか?
A.旋盤ウイイイイイン!「ほらよ」
Q.こんな溶接できますか?
A.溶接ビビビ!「ほらよ」
王将ですか?
それはまるで王将で注文してから料理が出てくるまでのスピード感。そのスピードで酢豚できるの!?みたいなサプライズ感。
こういった技術は付け焼き刃で身につくものではないが、伝承していきたい技術だ。
想像もできない数の失敗もしてきたのだろう。
昨今の、「無駄なことはやりません」という空気感が、試しに作ってみる経験や失敗をする経験を邪魔してる気がする。
決められた仕事を決められた仕様でやるのが1番儲かるのはわかる。
でも失敗を恐れずに難易度の高い仕事に挑戦したり、儲からない仕事を儲かるようにする工夫が技術力を養うんじゃないかなって思う。
ただし、お金を支払う側もケチケチしてないで技術に見合った報酬を支払うようにしなければ作り手がどんどんいなくなることを肝に銘じて欲しい。
あんまり安いと、あなたも逃げられちゃいますよ。
テッテッテレレテレレテレレ(世にも奇妙な物語風)