余命ガチャ。
ある男は、余命ガチャを回すか悩んでいた。
「お兄さん、思い切っていかがですか」
国家は余命ガチャを推進しているため、公務員が客引きをしている。
「うーん、どうしようかな」
「思い立ったが吉日ですよ」
「……よし! 決めた」
男は覚悟を決めて、ハンドルを強く回した。的玉のようなカプセルが、吐き出される。男は息を飲んで、カプセルを開いた。
「うわー、3日だった」
男は天を仰いだ。
「でもね、お兄さん。これでその3日を、思いっきり生きることができるよ」
初めはその倫理性を批判された余命ガチャであるが、実証実験で皮肉なほどに総体的な幸福度が高まることが明らかになった。人は、(それが例え、消極的にもたらされるとしても)生きている実感を求める個体なのだ。