鏡越しの視線。
鏡越しにあなたを見ていたら気づかれちゃったみたい。まったく、男の子っていうのは視線に敏感ね。でも、男の子ってそういうのを求めている節があるでしょう? そういうのって、手に取るように分かる。だから、あなたが気づいてしまうのを私はある種承知の上で、あなたを鏡越しにじっと見ていたの。
鏡越しに視線を送っていた理由は1つ。それは、さっと髪をかきあげてあげること。だってあなた、女の子に髪をかきあげて欲しくて堪らないっていう顔をしているんだもの。私、そういうの進んでやってあげるタイプなの。男の子の役に立つって、とてもいい気分だから。
私が髪をかきあげると、あなたはまるで運命の人と邂逅したんじゃないかって目で私をみた。まったく、これだから私は都合のいい女をやめることができない。けれど、遊ばれているのは私じゃなくて、あなたの方なのよ。そういうのって、手に取るように分かるもの。