魔性。

簡単に笑って見せないで。何事もなかったみたいに振る舞わないで。私はこの空白を埋められなかったのに。私は新しい内臓を埋め込まれたみたいに、貴方に侵食されたのに。

貴方が私に落とした言葉。私はあの夜を迎えるまで、言葉は流れて通り過ぎるものだと思っていた。然るべき時間が過ぎれば、忘却に帰するものだと信じて疑わなかった。しかし、弁のような鋭角があり、流れることを拒む種類の言葉があることを、私は知らしめられた。貴方はどうやら、そういう言葉を意図して使うことができる妖怪のようだ。

つっかえて痛い言葉。私はその解釈を強要された。いつもなら無視して、お酒で流してしまうだけだった。そうすれば、痕は何も残らない。しかし、貴方の言葉は私を掴んで離してくれなかった。痛い。苦しい。私は自分自身を変えてしまうことでしか、それに対抗することができなかった。以前の私は、こういう時何を考えていたのだろう? 

貴方はそのような魔性を自覚しないで、私の斜で笑っている。私はその妖力を知っているから、貴方から目線を逸らすことしかできない。




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