修験道。
絶壁を登っているかのような過酷さ。踏みしめても、踏みしめても階段は続く。何百段と登っても、まだ道は半ばである。
修験道とは、読んで字の如く〝験(しるし)を修める道〟のことである。自然と対峙し、自分の無力さに打ちひしがれながらもひた歩くことで、悟りに似た験を掴み取る。徹底的に自身を追い込むことが、この国の美徳であることはどうも古来から変わらないらしい。
修験道として名を馳せるこの山は、かつては山自体が信仰の対象であった。山を望み、祈る人がいたわけだ。もし、今祈る人がいたとしたら、僕も併せて信仰することになるのだろうか。修験道は相変わらず険しい。