夢現実夢。

覚醒しながら、夢を見ていた。意識は揺らぎの中にあり、どこまでが現実でどこまでが夢なのかが分からない。現実が先か、夢が先か。そもそも、我々がどちらに生きているのかすらもはっきりとはしていないのだ。

「そういう意味では、夢と現実というのは両極にある訳ではないのかも知れないね。ちょうど、生と死が両極にある訳ではないように、ね」

声が聞こえる。その声は奇妙なくらい脳に染み入る。まるで、僕の脳味噌を長く細い指で愛でるように。深爪が、皺に重なる。

「ねんねんころり、ねんころり。さぁ、目を開けて、耳を塞いで」

まだ僕には眠りが必要みたいだ。しかし、今も眠っているのかもしれない。もう、何もかもが分からない。僕は時計の針が進むことを願った。時計の針が示すものが、一定であるかなんかは確かめようがないのに。チクタク、チクタク。脈打ちが、すこし痒かった。

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