イメージの海。
君は涙に溶け落ちてしまった。余りにも泣きすぎて、肉体が溶け落ちてしまった。水溜まりになった君はマットレスにすいこまれれて、すぐに跡形もなくなってしまった。波打ち際の足跡が、そっと消え去るみたいに。
君は消えてしまった。僕はマットレスに君を見出そうとした。しかしそれはセミダブルの大きさのマットレスにしか見えなかった。僕は君の顔を忘れてしまった。君の声を、君の髪質を、君の肌のキメを忘れてしまった。君はいなかったのかもしれない。僕はマットレスの上で夜を明かし、そう思った。
君なる存在が見つかり、君と君なる存在は一緒くたになった。君をどんどん好きになるのは、多分たくさんの亡骸を吸い上げているからだ。