石を飼う。
石崎くんはいつも石を引きずって歩いていました。
「ねえねえ、石崎くん」
「なあに?」
「石崎くんは、どうして石をひきずって歩いているの?」
私が石について尋ねると、石崎くんはいつも照れ笑いをします。
「その……すごくお気に入りの石だから、大切に飼っているんだ。別に、石崎だから石を飼っている訳ではないんだよ」
石崎くんの笑顔はとても素敵だから、私は石崎くんにたくさん石について質問をしてきました。おうちから追い出された時に慰めてくれたこと。公園の水道でシャワーを浴びせてあげると喜ぶこと。リールに繋いで散歩をすればたかたかと笑うこと。石崎くんのはなしを聞いて、私も石を飼ってみることにしました。河原で一日中探し回ったら、石崎くんがいつも引き摺っているのにそっくりなものがあったので、それにしました。
「ほうら、大好きな石だぞう」
私は石をよく投げられるようになりました。みんなも飼えばいいのに、なぜか私に投げます。でも、飼い石くんに友達が増えるのはいいことです。でも、最近は友達が増えすぎて、引っ張るのにちょっと重いです。