不思議な学生。
日本のアニメが好きだった。アニメを日本語で楽しみたいと思い、学習を始めた。好きなことに熱中するのは当たり前だ。その過程で、日本文学に遭遇した。美しい日本の風土と、その精巧な表現に魅せられた。三島や川端を強く愛した。
高校を卒業したあと、京都の日本語学校に1年通った。その後、念願の文学部に入学をした。日本語での試験は骨が折れたけど、日本文学を日本語で味わえるようになった。少し時間はかかるけれど、三島や川端を原文で読むようになった。時間は問題にならなかった。
授業前の教室で、男子学生が話しかけてきた。私が好きな作家を訊ねると、彼は言葉を詰まらせた。
「小説はあんま読めてないんだよね。」
「なんで、文学部に入ったんですか?」
「うーん…。」
彼はなんで文学部に所属しているのだろう?不思議な学生だ。