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ユメポックル。

ユメポックルは、眠り糸を上手に結べる妖精だ。眠り糸は、脳みそから皮膚をつきぬけてだらんと垂れていて(数の多い人間もいれば、一本しか生えていない犬もいる)、これを床に縫い付けることで夢を見る。ユメポックルは結び方で夢を調理する。だからユメポックルが好かれると良い夢を見れるんだけども、ひとつとして同じユメポックルはいないから(例えば、ひとつと呼ばれることに赫怒するユメポックルもいれば、そうでないと受け付けないというユメポックルもいる)、結局は良い夢も悪い夢も同じくらい見る。

ユメポックルは眠りを差別しない。うたた寝も昼寝も大イビキも、ユメポックルは等しく眠り糸を結びにやってくる。だから、椅子の上で転た寝をする人は首をぐわんぐわんする。ユメポックルが引っ張った眠り糸の反動で、ぐわんぐわんしているのだ。ユメポックルは梃子の原理で勢いよく持ち上げられて、ポプラの綿毛みたいにふわふわと空中を漂う。それがユメポックルは楽しいらしく、ふわふわした後のユメポックルはとても美しく眠り糸を結んでくれる。余りにも甘美な夢は、だいたいその時に重なっている。

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