醜い女の子。

空から醜い女の子が降ってきた。直撃したある男は途端に気絶をした。ある男が目を覚ますとそこは病院で、醜い女の子はある男の手を握っていた。

「わたし、あなたのこどもになったから」

ある男は混乱したが、周囲の人間は当たり前の様に、醜い女の子を彼の娘として認識しているようだった。

「わたし、あなたのこどもになったから」

退院して家へ帰ると、そこには子供部屋がありおもちゃがあった。まるで、神様が手はずをすっかり整えてくれたみたいに。

「わたし、あなたのこどもになったから」

醜い女の子がやってきてから、男の頭は混乱し通していた。春の次には冬が来たこともあったし、今日の次に昨日が繰り返されることもあった。砂糖は辛くなったし、コーラは100%のアルコールだった。ある男は、自分が衝撃で頭がおかしくなったと考えるようになった。それと同時に、目の前の女の子を醜く感じているのは自分の錯誤であるのかもしれない、と考えるようになった。

「わたし、あなたのこどもをやめるから」

ある男が目を覚ますと、かつて暮らしていた無機質な部屋にすっかり戻っていた。ある男は、醜い女の子と過ごした記憶が夢なのか現実なのかを判断できずにいる。


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