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雲集霧散。

霧が唐突に立ち込める。世界は瞬時に、まるでパレットを白の絵の具で敷き詰めるように真っ白になる。僕だけがこの白の世界に不必要であるみたいだ。周りには誰もいない(ように感じる)。僕は、自分の相対的な無力感に打ちひしがれると同時に、圧倒的な自然の摂理に畏怖を憶える。

僕だけのこの世界で、目の前から誰かが歩いてくれば面白い。そいつが世界の始まりを告げても、終わりを告げても構わない。目の前に何かが具象することを僕は待ち望んでいるのだ。

霧は何事もなかったかのようにたち消える。しかし、僕は世界の異なりを聢と感じた。まったく同じ世界なんて、この世に存在しないのだ。

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