盗人。
「…こういうのってやっぱり気が引けますよ。」
「俺も最初はそうだったよ。」
「…やっぱり止めましょうよ。バチが当たっちまいま…」
「なぁ、考えてみろよ。そのバチってやつは、こじつけにすぎないんだよ。偶然の事故なり怪我なりに、因果関係を見つけようとする人間の悪い癖だ。」
「でも、やっぱり。」
「俺の誘いに乗った時点で、お前の答えは出ているじゃないか。だいたい、世の中はありとあらゆる保険で搾取されているんだ。あいつらの方がよっぽど悪徳だよ。その汚い金から耳揃えて補償はされるんだ。いいお片付けをしたと思えばいいんだよ。」
「…。それにしても、俺等以外にも車通りがあるんですね。」
「俺等は法則に従って動いているだけなんだ。逃げる人もいれば、向かう人もいる。特に、盗人が一番行動が早い。」