洗濯機と宇宙。
「時々、洗濯機に閉じこもってしまいたいと思うの」
私は宇宙服の頭みたいなドラムを撫でて、呟いた。
「正直言って、良い気分はしないよ」
「まるで、入ったことがあるみたい」
「子供の時、一度ね……悪ふざけで隠れようと思ったんだ」
彼は出来の良い鳩時計みたいに、ふくよかなペースで言葉を紡いだ。
「足を引っかけるのに必死で、結局頭から突っ込んでしまった。あれって、すごい絶望感だな。まるで溺れているみたいに息が苦しくなって、壁が迫ってくるみたいな焦燥感があった……声も出せなかった。今でも、選択をする時にふっと怖くなることがあるよ」
私は宇宙に行きたかっただけなんだけどな。
「あなたって、何でも経験してるよね」