テトラポット。
君はテトラポットのひとつになった。でも、頭は死んじゃいない。君は意志を持ったテトラポッドだ。思考を止めないテトラポッドだ。君は忸怩たる思いを抱えながら、波を抑えるスクラムの一部になる。憂鬱を抱えても、溜息をつくことができない。
君はこう考える。僕以外のテトラポッドも、同じなのであろうか、と。一度結ばれた思考回路は、潮騒に乗じて固く織り成していく。じゃあ、テトラポッドとは一体何の為にあるんだ。君はテトラポッドになっても、アイデンティティが不安定だ。だから、動くことを誰かがそっと取り除いた。ピンセットで魚の小骨を抜くみたいに、そっと。
僕は君を観察することがわりに好きだ。だからこうしているんだと、今は考えている。