芝生の上。
芝生を見ると、僕は思わず寝転んでしまう。土の状況を鑑みる余裕がないくらい、盲目的にそれが好きだ。だから、白いシャツは何枚も駄目にしてしまった。
芝生の上に寝転んでいるその時間だけ、自分が地球の一部であることを確認できる。ビルの上、コンクリートの上、女性の上…社会的なn=1としての役割は、無理矢理生かされているようで味気ない。
杭として、大地に打ち付けられる。僕は地球の一部だ。芝生は羊水ように、僕を包み込んでくれる。目を瞑る。
自転を感じようと、意識を集中する。僕は地球の一部であり、宇宙の一部でありたい。しかし、今日も自分が超高速で回っているという事実に気付くことができない。地球にとってみれば、ゆっくり回っているに過ぎないのかも知れない。僕はちっぽけな存在だ。僕のライフストーリーも、宇宙の歴史から見たら…それでも、僕がこの瞬間地球の一部であることだけは確かだ。濡れた芝が、腕にひっついて離れない。