ラストドライブ。
先輩が迎えに来る。僕は気持ちが高ぶり、合格発表を控えた受験生のように落ち着かない。だって、あの先輩が僕の元に、僕だけを目標に車を走らせているのだ。僕は、コンビニエンスストアで温かい缶コーヒーを買う。そして、公園で煙草に火を灯す。かすかな煙草のフレイヴァーは、僕にとってお守りのようなものだ。
道路は渋滞しているようで、予定より先輩は遅れるようだ。僕は、その予定不調和をも楽しんでいた。ただでさえサプライズな今日が、そんなに上手くいくはずはない。僕は、先輩に買った缶コーヒーをあけて飲む。雨がしとしとと降り始めたが、僕はベンチから動かなかった。
死相を見ることができる僕にとって、その夜の出来事は必然であった。