Rendezvous.
「再会をしてしまって、ごめんね」
出し抜けな冗談かと思ったけれど、彼の表情にそのような綻びはなかった。
「どうして?」
「再会しなければ、君は出会った頃から年を取らなかったのに」
「年を取らなかった?」
彼は哀しそうに嘆息をして、ブランデー・ソーダを啜った。
「再会までの5年間が、その全てが君に降り注いでしまったんだから」
バルに他の客はいなくて、静かに流れるBGMもそれ以上の意味をもたなかった。彼がグラスを置くと、氷の打ち付け合う音が響いた。
「私はあなたと同じように、年をとっていたよ」
「でも、僕の中の君は年を取らなかった。僕の時間はとても重いんだ。時間を歪めてしまうには十分なくらいに。たった今君は急速に年をとってしまって……」
小馬鹿にされているような気がして腹が立ったから、私はワイングラスを傾けて誤魔化した。その手に浮かぶ皺は、確かに深く刻まれていた。