龍の城。

外は地上と同じように、風が強く吹いていた。随分近づいたはずなのに、太陽の大きさはさして変わらない。多分、どこまで行ってもその大きさは変わらないんだろう。

「さて、君はそろそろ覚悟を決めなきゃならない」

龍は、僕の頭上を竜舞きながら諭す。

「この眼下に広がるふかふかの雲海に、真っ直ぐに飛び込む必要があるんだ。どう、怖いかい? 」

「いいや、怖くはないよ。宇宙に飛び上がるのとはわけが違うからね。必要なのは、勇気だけだ」

「言うようになったじゃないか」

龍は高らかな声で笑った。

「さぁ、確かめてきなよ。君のその形而上的な一重の眼で」

龍の城はその雲海の先にある、かも知れない。けれど、その可能性が君を突き動かす。不確かな君は、その不確かさを乗り越えて偉大なる1歩を踏みだす。土踏まず。そこで雲を掴む時、君もまた龍になるだろう。

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