『クローンによる出産代行権』の歴史。(※「星新一賞」応募作)
「クローンによる出産代行権」を巡る歴史は長く、二十年前に端を発する。「黒人の命も大切だ」運動など、多様性や人種についての議論の隆盛を極めた2020年代は、たくさんのフェミニスト達の活躍を導いたが、その結果彼女らが辿り着いた命題は「私達だけが出産という痛み、そしてその弊害を被るのはおかしい」という生物としての摂理への挑戦だった。アメリカのインフルエンサーであり、フェミニストでもあったアーティストの楽曲から問われはじめたこのテーゼは、世界中のフェミニスト達へ瞬く間に浸透し、運動は加速していった。運動が盛り上がるにつれてその方法が模索されたが、解にはなかなか辿り着かなかった。人工子宮や体外出産などアイデアは出されたが、シンギュラリティが近づく2030年代の科学技術をもっても不可能だった。男性に人工子宮を埋め込んでも適切な放出口がないし、体外出産もなんとか実験にはこぎ着けたもののその生命の萌芽を維持し続けることは出来なかった。(しかも、失敗をしたことでその倫理性が改めて問題視され、プロジェクトは中止となってしまった。)誰もがその摂理への挑戦を諦めかけていた時、深圳に拠点を置くテック企業のCEOを務める世界的インフルエンサー(女性版イーロン・マスクとの呼び声が高く、彼女もまたフェミニストであった。)がSNSへ投稿した一言が契機となった。
〝我们能做克隆 #WITHOUT DELIVERY〟
(私達はクローンならつくれる #出産なしで)
この発言を、知識層はあまりにも前衛的だと批判したが、世論は大きく異なった。知識層の意見が必ずしも多数ではないことが、この時代においてもまた例外ではなかった。この投稿に対して、世界からは賞賛のコメントが寄せられ、その倫理性を討論する番組や警鐘を鳴らす書籍は知識層しか見ることはなかった。永らく倫理性という壁に護られ、議論されることがなかった「ヒトクローン」は瞬く間に矢面に立たされたのであった。右派・極右政党が跋扈していた2030年代のヨーロッパでは、特に好意的に受け止められた。世界的にはまったく冷え込んでいた哲学がヨーロッパでは盛んな議論が保護されていたこと、SDGsの部分的達成から、女性の社会的活躍によりヒューチャーされたMDGs(More Development Goals)が掲げられていたことが要因とは考えられるが、何よりも世論を巻き込んだ一大ムーブメントを巻き起こしたことが、ドイツによるヒトクローンの開発実験へと導いた。クローン羊「ドリー」の開発から脈々と受け継がれていたクローンの研究が、2030年代にヒトクローンを開発できない理由はなかった。かくして、初のクローン人間「ersten」が誕生した。しかし、ここまでは人類の予想の範疇であった。我々の科学技術をもってすれば、クローン人間などたやすいことだと、多くの活動家・知識層は楽観視していた。研究者達もまた例外でなく、成功に安堵はするものの、エキサイティングすることはなかったのである。ドイツのチームは生物学上メスにあたる「ersten」が問題なく成長し、生殖が可能かどうかを確かめられるようになるまで、厳格な庇護のもと気長に待つばかりであった。
そこに待ったをかけたのが、一帯一路を半ば現実のものとしつつあった中華人民共和国である。GDPはついに米国を抜かして世界一位に踊り出て、習近平が半ば神格化されつつあったかの国では、ドイツに先んじられたことへの反骨心が狂気的な研究を導いていた。「ersten」に遅れること五ヶ月、世界では二例目となる中国のクローン人間「希望(シーウァン)」が誕生し、世界はまた賛辞を送ったが、中国のもくろみはやはり世界一の国家に相応しい革新的なものであった。
「希望」の発表からわずか三日、中国は再び世界へ向けた会見を執り行った。各国の評論家達は、失敗、すなわち「希望」の死亡ではないかと意見した。ただ、中国の発表はそのような推論を一蹴する、画期的な取り組みだった。高々と発表されたのは、「希望2.0」というプログラムであった。ドイツが「ersten」を人間の代替手段、つまり人間として扱うことを主として掲げていたことに対し、「希望」は全く新しい生物、言うなれば「生殖人間」として設計されていたことが発表されたのだ。「希望2.0」とは、中国に含蓄されていたゲノム編集のビッグデータにより、「希望」独自の成長がなされるように設計されたゲノム・モデルである。実証実験は現在進行中であるが、理論上ではなんと二年近くで生殖可能段階(ヒト年齢に直すと、約15歳~17歳)に達するという驚くべきモデルであった。さらに、「希望」と人間の交配によって生まれた種は、純粋なヒトに比べるとやや短命ではあるが、それでも進歩の止まない高度医療の力によって平均85歳の寿命は担保できる、という長期的な展望も発表された。かくして、ドイツが約15~18年後に予定していた受精実験は頓挫へと追いやられ、「クローンによる出産代行権」の未来は中国の圧倒的技術に託されることになる。
各国の知識人達は、「希望」を巡って討論する毎日だった。「生殖人間」なるものをどのように定義すればいいのか、はたまたその「生殖人間」と人間の交配種は、はたして人間なのか。科学技術の発展に取り残されていた人文社会分野は突如として世界の方向性を定める重責を課され、カオスへと向かっていった。ある高名な哲学者は、生物を生殖機能の有無と定義し、生殖機能が備わっている「希望」とヒトを区別する構造自体を否定した。新進気鋭の倫理学者は、「希望」の研究に関わった人全てを厳しく叱責し、もう一度戦争で国家の優劣をアップデートするべきだとにわかに盛り上がっていた戦争待望論を追い風にして、激しい議論を巻き起こした。(皮肉なことに、旧東側はこれを論外だとかわし、旧西側が戦争待望論の筆頭となった。)また、目聡い宗教家達は各国で、出産という行為を信仰対象とした新興宗教を立ち上げ、出産を助長する行為全てを正当化した。(言わずもがな、特に中国の研究者達に浸透した。)中国全土に流布した「生命教」は、精神の拠り所を求めていた中国の若年層にも徐々に浸透し始めた。誰もが中国の新興宗教規制という未来を予想したが、宗教嫌いで有名な中国がこの宗教を黙認したことも世界に驚きを与えた。この新興宗教は中国共産党が研究者達を統べる為に創生された戦略的宗教ではないか、という陰謀論が主に旧西側で噂された。各国の熱狂を傍らに、中国は「希望」の成長を国家主導の動画配信サイトで順次公開し、そのシェアをも拡大させた。Covit-19パンデミックでも叫ばれた、独裁国家の優位性が再び着目され、独裁を求む世論が形成されつつある倒錯をシニカルに表現した映画がアカデミー賞を受賞した。
各国が答えの出ない足踏みな議論を続けたことは、残念ながら不毛に終わった。二年間の議論は、中国の自信を深めさせただけであった。「希望」の成功から二十ヶ月、中国は壮大な実験「ADE(Alternative Delivery Experiment)」の詳細を発表した。現在の「希望」の姿を公開し、ここまで予測以上の成果が出ていることを強調した。そして、予定通り四ヶ月後に受精実験へと移行することを宣言した。「ADE」チームは、まず体内受精を「自然受精」、体外受精を「人工授精」と再定義した。そして「自然受精」が生物としての尊厳であり、「人工授精」こそが摂理への冒涜だと強調した。「希望」は、「自然受精」が最適化されており、活きの悪い精子(主に中~高齢の男性がこれにあたる)がつがいだとしてもオリジナルより約三倍の確率で受精が可能になっている。また、生理周期がオリジナルの約半分に設計されており、受精可能機会が拡張されている。「希望」に対しての配慮も見せ、専用の低用量ピルを使用することで受精機会以外の生理を回避し、ストレスが軽減することを強調した。着目すべき点は、「希望」の妊娠期間はわずか三ヶ月しかないという点だ。まさに一貫してクローンファーストであり、多くは叱責される倫理的命題を圧倒的な技術をもって解決したのである。さらに、オリジナルから細胞を搾取した段階で、その個体の生殖能力を数値化する「母胎指数」も考案された。この数値によって、つがいの精子に対しての出産確率がかなり正確に割り出せるようになり、たとえ「クローンによる出産代行」を行使しないとしても、妊活という徒労も解消されることとなった。この会見では「希望」のオリジナルとなった女性が初めてオフィシャルに公開された。あらゆる憶測が飛び交っていた「オリジナル論争」にも、終止符が打たれた。蘇亦非という名の彼女は、精華大学でドクターを取得した遺伝学研究者であった。彼女は会見で、「ADE」の達成を願いつつ、出産で苦しんだ女性の声を代弁し、「希望」がそのような女性を救うことを願った。その感動的な20分にも及ぶスピーチは、世界のいかなるアンチクローン論者にも感動を与え、「ADE」の成功を願う世論が形成された。この会見を通して、国際社会は中国が名実ともに技術・思想のトップアンカーであることを認めざるを得なかった。「生命教」では、待ちわびていたThe First Motherの登場に歓喜し、この日を祝祭日とした。それまでの定番であった人工授精を思想的に非難された各国は必死にそのことを否定しようと試みたが、中国が織り成したストーリーの方がはるかに説得力のある結論であり、太刀打ちすることは出来なかった。
全世界の期待を傍らに、「ADE」は予定通りスタートした。実験とはいうものの、「希望」はあくまで「自然受精」に最適化されたモデルであるために、「希望」が待機する部屋に有志の男性(「ADE」チームの若手で、蘇亦非のパートナーでもある。)が入室し、事が済まされるのを待つだけである。(セックスを嗜好目的の性行為と定義し、この言葉は丁重に避けられた。)科学的実験の性質上その行為の撮影は避けられないため、男性側の権利侵害を訴える過激派も現れたが、被験前に行われた会見で男性がそれを直々に否定したことで、過激派の意見はノイズと見なされた。入室から30分ほどで男性は部屋から出てきて、実験が問題なく進んだことを報告し、成功を願った。続いて、「希望」も部屋から出てきて、その姿を初めて関係者以外に披露することとなった。(映像での公開のみであったため、一目見て泣き出す記者もいた。)「希望」の口からも改めて「自然受精」による精神負担がなかったこと、今回の実験が「クローンによる出産代行権」に帰依することを願っている、と語られた。実際にヒトクローンを目の当たりにして、伝統的価値観をもつ人々からはその本能的嫌悪感が叫ばれた。しかし、ヒト年齢にして約17歳の可憐な少女に対して罵声を浴びせるものは少なかった。しかし、実験の数日後、「ADE」と思われる映像が流失し、瞬く間に世界中に広がった。しかもその映像内で、男性の行為に対して激しく反抗する「希望」が確認された。男性は嫌がる「希望」の服を無理矢理脱がせ、陰茎を口に含ませていた。この映像に対し、フェミニストや人権論者からの叱責が飛び交い、「生命教」では少なくない信者が失意の中自殺にまで発展してしまった。映像が流失してから数時間後、「ADE」チームは緊急の会見を世界に向けて発信した。そこで、その映像が全くのフェイクであることが示された。今まで公開されていた「希望」の映像、実験概要の資料にあった部屋の画像、記者会見での男性の演説シーンを日本のアダルトビデオに組み込ませた巧妙なフェイクポルノであると伝えられた。この会見により、多くの「クローンによる出産代行権」待望論者は安堵すると同時に、あっという間に解析を終えた中国の技術力に改めて感嘆した。フェイクポルノの制作者が中国極左派の青年だと特定され彼は次のようにSNSを投稿し、その後自死を選択した。
〝我们还能把道路返回去 #WITH DELIVERY〟
(我々はまだ道を引き返すことが出来る #出産ありで)
「生命教」は93人の自殺者を半ば神聖化し、「ADE」成功の為に流された血だと喧伝した。生け贄ともとれるその定義に、一部の若い信者達は危惧を憶え棄教をした。このたった一日のトラブルはあったものの、「希望」にとってはいつもと変わらない日常が流れていき、受精結果を待つばかりであった。(自然性を強調している為、着床判断は生理が止まるその時まで待つ必要があった。)
実験は予想通り成功した。「希望」は見事人類の叡智の結晶を妊り、出産までの三ヶ月を過ごすことになった。「希望」は中国共産党の厳重な庇護の下、その安全を保障された。「希望」に原因があるか否かは定かでないが、各国の極右・過激派の勢力は拡がるばかりで、大都会上海といえどもテロを被る可能性は捨てきれなかった。何人かの個人活動家が警備員に捕らえられることはあったものの、大きなトラブルはなく「希望」は出産準備へと移行した。
「希望」の出産は滞りなく進み、陣痛からわずか2時間で、ポストヒューマンビイングが誕生した。一貫して自然性を重要視する世界観の為、帝王切開という選択肢はなかった「ADE」チームにとって、計算通り分娩が進んだことは感動に値するものだった。「希望」は、オリジナルより母胎適正が強いモデルであるため、痛みもかなり弱く、分娩がスムーズなのである。かくして、壮大かつ偉大な実験の結果、人類は自然の摂理に勝利し、ポストヒューマンビイングを生み出したのであった。
「ADE」チームはすぐに会見を執り行い、成功に歓喜し、世界全体と感動を共有した。誕生したポストヒューマンビイングを「真理(ジェンリィ)」と名付け、「希望」と同様に「クローンによる出産代行権」のシンボルとすることを発表した。「真理」誕生の瞬間も動画配信サイトで公開されるやいなや、世界中からアクセスが殺到し、極めて高度なサーヴァーを約10年ぶりに落とさせた。蘇亦非も「希望」の出産に立ち会っていた為、伝統的価値観をもつ多くの人達は俄にドッペルゲンガーによる不吉な何かを期待していたが、ヒトクローンにそのようなフィクションが適用されることはなかった。
「真理」誕生から三ヶ月、「ADE」チームは中国共産党と共同会見を執り行った。そこで、「ADP(Alternative Delivery Program)1.0」の概要が発表された。「クローンによる出産代行権」にむけての実装実験を、中国の深圳・上海・北京、シンガポール、イタリアのローマの五つの都市で始めることが発表された。中国の三都市は一万人ずつ、シンガポール・ローマでは1000人ずつの有志の女性が「母胎委託」(クローン生成だとSFのような印象を与えかねないため、このように命名された。)を行い、その二年後にパートナーが「自然受精」を行う。「ADE」と同じプロセスが、ついに都市単位で動き出す。中国傘下の国々では、この「クローンによる出産代行権」を特に好意的に受け入れていたため、「母胎委託」を望む女性が大挙した。厳正なるスコア判定の結果それぞれの枠に収まった。
「ADP1.0」で行われた計三万二千件の「母体委託」の結果、実にたった一人を除いて問題なく成功した。唯一失敗におわった女性の遺伝子情報を解析することで、「母体委託」に齟齬をきたす細胞の存在が明らかになり、彼女もまた「クローンによる出産代行権」の発展に貢献した。「母体委託」で誕生したヒトクローン達は、「ADE」チーム指導のもとで中国が開発した専用施設「光明庭园(グァンミンティンユェン)」でのびのびと適齢を待った。「光明庭园」は莫大な予算がかけられた施設で、建設物としての造形美のみならず、教育施設やレジャー施設をも完備することで、ヒトクローン達の「人権」を庇護していた。貧困が拡大していた韓国では、『ひとならず』というヒトクローンを主人公にした小説が記録的ベストセラーになった。
ヒトクローン達の成長を待つ間に、中国は成功を前提に「ADP2.0」の概要を世界に公開した。それは、「ADP」の世界公開という壮大なプロジェクトであった。「ADE」チーム主導の「希望2.0」はついには他国には解析することができず、世界中から「ADP」へ羨望の眼差しが送られていた。その「ADP」を、たった一つの条件を満たせば、望む国家・自治体に提供すると発表したのだ。その唯一の条件とは、国家機密レベルまでの科学技術研究(ゲノム編集はもちろん、情報工学や核の研究までもが対象となった。)を全て「ADE」チームに開示すること、であった。事実上、中国への独自技術提出という条件に対し、旧西側諸国は激しく反駁した。しかし、「ADE」チームとしては、いかなる不正もせずに地道に積み上げてきた研究の成果である「ADP」をヴォランティアで提供する理由はなかった。少なくとも、一帯一路構想に含まれる、中国の事実上の傀儡国家はそのような条件に特に反抗する理由もなく、国民投票で導入をするか否かを問うだけでよかった。旧西側だけがその判断に苦しみ、東西の完全分裂が決定的になった。
中国の圧倒的自信は虚勢ではなかったことが証明された。「ADP1.0」の着床は全て成功し、またその出産に際してもいかなる問題が生じることはなかった。参加者は成功に感涙し、口々に「ADE」チームへの感謝の意を表した。EUは「ADP」を全面的に禁止する抗戦の準備が整っていたが、北欧やエストニアなどの先進的な国家はその実施に強く反対し、ブレクジットをほのめかした為、一転して積極的受容へと傾いた。中国では、中国共産党の働きで、ヒトとヒトクローンの間に生まれた子供の存在が法的に認められていたため、すぐさま社会に溶け込んだ。(中国の法では、3/4以上が人間に依拠していれば人間である、という一風変わった定義がなされた。ヒトクローン(母方)を1/2の人間と定義することで、父方の1/1と合わせて3/4を満たすといった理屈だが、なぜヒトクローンが1/2であるのか、なぜ3/4ならば人間であるのかについては多くは語られず、強行採決だという世論もあった。)披験者の全出産が完了すると、すぐさま「ADP2.0」へと移行した。中国国内では全土の指定機関で「ADP」への参加が可能になったが、やはり深圳・上海・北京の三都市では特に熱狂的なムーブメントになり、「待機母胎」という言葉が流行した。国外では実験参加国であったイタリアやシンガポールでは大都市で、EU内では意見表明をすでにしていたエストニアがいち早く導入した。導入が決定された国家の中でも、やはり本能的な抵抗感で忌避する人も多かった(例に漏れず、女性よりも男性側が、「ヒトクローン」との「自然受精」に対して否定的であるパターンがほとんどだった。)が、全く痛みを伴わない出産、という事実はやはり魅力的であり、参加者の体験談が増えるにつれて徐々にそのような食わず嫌いはなくなっていった。「ADP」を導入した各国は、それぞれ「クローンによる出産代行権」を、改憲をもって保障し、女性活躍はより一層顕著なものへと進んでいった。
我が国でも長らく熱心な議論が重ねられてきたが、世論に押され、2045年に「ADP」への参加の是非を国民に問うことが決定された。実に二十年ぶりの国民投票となったが、賛成42%で可決となった。(反対30%、無効票28%)ファイブアイズに先駆けての「ADP」参加ということもあり、アメリカとの亀裂は決定的になったが、一帯一路への全面参加がほぼ確定事項となっていたため、大きな問題へ転じることはなかった。国民感情としても、初期は熱心なフェミニストの利用に留まったが、他国と同じように徐々に浸透していった。
2050年現在、「クローンによる出産代行権」は一般的な選択肢として広く認知され、受容されている。〈終〉