懐妊。
ガールフレンドが懐妊をした。しかし、僕達は長い所セックスレスだった。
「宇宙人の子供なの」
彼女がそういう嘘を付ける側の人間であることに、僕はいささか、いや、かなり辟易をした。別に怒りを覚えていた訳ではなかったが(セックスレスは、それを黙認しているという状態とも言えるから)、僕はガールフレンドと距離を置くことにした。
「これは奇蹟なの……あなたはそれを目撃する権利があるの……」
オフィスに宇宙人が突然現われた。宇宙人とすぐに判別を出来たのは、彼(生物?学上は分からないけれど)が現われると同時に、僕の脳内に情報をシェアしたからだ。ワタシハトナリノウチュウカラヤッテキタモノデスアヤシイモノデハゴザイマセン……etc.
「ご覧いただかなくて、本当によろしいのですか?」
なぜか宇宙人の声は、僕が小学三年生の時の担任のものだった。
「……結構です」
宇宙人は忽ちに消えた。僕は仕事に戻ろうと思ったけれど、無性に欲情をして駄目だった。