宇宙人。
宇宙人が軒下で倒れていた。
「おい」
僕は宇宙人の身体を起こし、声をかけた。わざわざ地球にやってきたのだから、日本語も理解できるだろう。しばらく背中をさすってやると。宇宙人は意識をとりもどした。
「あれれ、私はいったい何をしているんですか」
「大丈夫かい?」
「あれれ、もしかしてあなたが助けてくれたのですか」
「背中をさすってやっただけだよ」
「あれれ、それにしてもおやさしいですか」
たどたどしい日本語ではあるが、やはり宇宙人とコミュニケーションを取ることは可能なようだ。
「宇宙人でも、家の前に転がっていたらほっとけないよ」
「あれれ、とてもありがとうございます」
宇宙人は深々と頭を下げた。見た目はなかなか奇抜だが(何しろ大きな目玉が5つもあった)、親しみのもちやすい小柄で、なかなか愛嬌のある態度をとる。僕はすっかり甲斐性を抱いてしまった。
「とりあえず、中に入りなよ。外は冷えるから」
「あれれ、これは何ですか」
宇宙人は食べかけの夕食を見て、訊ねきた。
「それは、鶏肉を油で揚げたものだよ。よかったら、食べてみるか……」
宇宙人は口から長い舌を伸ばして、僕の首を締め付けた
「あれれ、親切な方ではなかったのですか」
宇宙人は、男の生首を一口に飲み込んだ。
「あれれ、肉を油で揚げるなんてとても野蛮ですか」